Creekside Bakery
クリークサイドベーカリー〈カリフォルニア州〉
伝統を大切にしつつ進化するファミリーベーカリー
家族全員が同じゴールを目指す

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店舗外観

左から、サラさん、シンディさん、レイチェルさん、ダニーさん、スティーブさん
 

店舗の横にあるパティオ

サンドイッチ

店舗内の様子

 サンフランシスコから車で40分ほど北上したノバト市に、1983年創業の「クリークサイドベーカリー」がある。ショッピングセンターの一角にある店の裏には小川も流れる。3代目のオーナーは、スティーブ・ジョーダンさんと夫人のシンディさん。スティーブさんが経営とパン作りなどを担当し、シンディさんはケーキやクッキーなどのベーキングを担当する。シンディさんは20年前に2代目オーナーの元で働き始め、7年務めた後、2005年にオーナーになった。

 初代オーナーは数年前に亡くなってしまったが、毎年の感謝祭には、初代・2代目オーナーと共にベーキングして、思い出話に花が咲かせたという。店の名前もレシピも受け継いでいるからこその関係だろう。
 「一番人気のプリンセスケーキは、元からあったスポンジケーキのレシピはそのままですが、マジパンは私が数年働いたスウェーデン・ベーカリーで学んだ知識を生かして、アーモンドペーストを多くして甘さを抑えたものに変えました。三重のチョコレートケーキ『チョコレートスプリーム』に挟むチョコレートバタークリームも、以前はショートニングを使っていましたが、今は、100%ヨーロッパのバターを使っています」とシンディさん。小麦粉もオーガニックに変え、原料を改善している。昔からの商品を受け継ぎ、新しい商品を増やした結果、クッキーやビスコッティは25種類、ケーキは12種類以上のアイテムになった。幅広い技術を生かして、大勢の顧客要望に応えている。
 今では、娘のサラさんがペイストリー類を担当、もう一人の娘のレイチェルさんが特別注文のケーキデコレーションと接客を担当、息子のダニーさんがカフェメニューとパン作りを担当し、家族全員で店を盛り上げている。
 「オーナーになった12年前、このベーカリーはクッキー、ケーキ、パイ、パン、ペイストリーを販売する伝統的なアメリカンベーカリーでランチも提供していましたが、デリスタイルのため、自家製でない商品も多くありました。息子と娘は食に違う視点を持っているので、ランチメニューは全く違います」とスティーブさん。
 ダニーさんは「ファーマーズマーケットで旬の作物を見て、メニューを決めます。できるだけ地元のサステイナブルな食材を使うと、お客様も喜んでくださり、何よりおいしいです。旬の野菜を使うので、メニューは頻繁に変わります」と言う。
 朝食でも昼食でもよく売れている日替わりキッシュは、スモークハムとブリーチーズ入りだった。アボカド、赤玉ねぎのピクルス、スプラウト、きゅうり、エアルームトマト、バターレタス、トマチーズ、アイオリ入りのサンドイッチは、野菜だけなのに満足感があり、切った断面も美しい。アメリカで流行しているトーストも、アボカド・コーンとしし唐辛子のレリッシュ・フェタチーズ・大根スプラウトが載ったルヴァンのトーストと、無花果とリコッタチーズ、ピスタチオ・ハチミツが載ったルヴァンのトーストなど、日替わりで2種類が楽しめ、素材の美味しさを生かした組み合わせが喜ばれている。
 「ベーカリーにはフルキッチンがないので、ある設備でやりくりして、創造的にならなければいけません。オーブンを多用し、発酵させたり、調理のいらないサラダを作ったりしています。グリドルがないので、パンケーキなどはできませんが、ベイクドエッグや燻製サーモン、手作りのヨーグルトのような朝食メニューも始めようと思っています」とダニーさん。
 スティーブさんは「ダニーは小さい頃から食に興味ありました。小さな子供を育てながらベーカリーを始める家族が多いのですが、その子供たちは家業を継ごうとはしません。私たちがオーナーになった時、息子はもう15歳、娘たちも大きくなっていたので、ベーカリーの仕事を手伝うかどうかを自分の意思で選ぶことができてラッキーでした。3人の子供たちが手伝ってくれて助かっているので、あと6人子供がいれば良かったと思います」と笑う。
 シンディさんは、今後のことを次のように考えている。
 「サラとデニーがカフェメニューのレベルを上げてくれたので、ペイストリーやケーキをどのようにレベルを上げるか考えています。今のままでもよく売れていて忙しいのですが、カフェメニューに新しい風味を組み合わせたことによって、お客様が喜んでくださっているので、ペイストリーやケーキでも、更に喜んでいただけるようにしたいと思っています。
 「この店には長い歴史があり、昔からこれを食べていると言ってくださるお客様もいるので、伝統と新しいもののバランスを見つけたいと思います。トレンディなカフェになりたい訳ではありません。34年間来店し続けてくださるお客様や4世代に亘って来店される家族もありますので、30年後に来店される人たちのことを考えななければいけません。約158Fの大きなダイニングエリアに、約140Fのパティオ、裏の小川など、当店のように贅沢な環境は見つけることはできません。店の倉庫が約120Fあるので、店を拡張し、フルキッチンを作ることも計画しています。パティオで、夜に灯りを点けてピザナイトなどのディナーもできます」とスティーブさん。
 家族全員が一緒に働くということはどのような雰囲気なのかを訪ねると、スティーブさんは「私と息子は最も意見がくい違いますが、二人とも店舗運営に情熱を持っていているからです。家で喧嘩をしていても、店では別です。家族経営の良い点は、店の成功という同じゴールを持っていること。辿り着くまでの道は異なるけれど、同じゴールを目指していることに間違いはありません」と語った。
 シンディさんが「それぞれ忙しくて、わだかまりを持っている暇もないので、全体的にはうまくやっています」とまとめてくれた。

【Creekside Bakery】
▽住所=1719 Grant Ave. Novato, CA 94945
▽電話=(415)892-7655

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