道央食糧供給M〈北海道旭川市〉
何時でも、今すぐでも見せられる工場を実現
高品質を武器に新規事業を拡大する

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伊原社長

工場外観
 

工場内の様子

成型の様子

食パンライン

 道央食糧供給M(伊原潤司社長)は2016年8月1日、旭川市工業団地で工場を竣工し創業、5年目を迎えた。旭川市を中心に上川管内の10市町村に学校給食パン・米飯の製造供給を行い、大手メーカーへ製品のOEM供給も行っている。

 旭川市は1965年頃、児童・生徒数は約6万人。5社でパンを供給する体制が続いていた。1976年から現農林水産省の方針により、全国で米飯給食が始まり、それまでパンを製造していた供給業者に炊飯も行ってほしいという要請があり、特別な補助や助成もなく、炊飯事業を始めることになった。当時は、アルマイトの容器に米と水を入れて、パン焼成用のオーブンで米飯を炊いていたという。
 伊原社長は、道央食糧供給M創業の経緯を次のように話した。
 「元々美唄市で1955年に創業したP伊原商店(焼きたてパン ベーカークラブ)を営んでおり、3代目の社長を拝命していたが2012年、旭川に拠点を移した。当時、2社で旭川市内に約3万食のパン・米飯を供給していた。美唄のパン工場は、現在も空知管内8市町村に学校給食用パンを供給し、美唄市から北の上川管内は、弊社から供給しており、合計18市町村に供給している。学校給食供給業者の廃業が進み、給食の供給範囲は拡大を続けている。
 旭川に拠点を移した背景は、旭川で給食を供給していた1社から、後継者不在を理由に会社売却を持ち掛けられた。いわゆるM&Aだが、給食専業会社の場合本来、翌年から契約がなくなると会社価値は『0』で、暖簾代を見出すこともできない。会社売却を希望する社長と時間をかけて協議した結果、2012年同社役員に就任、2013年に社長に就任して旭川市内のパン・米飯の供給を担当することになった。
 旭川の学校給食供給2社は、社歴が長く信頼されていたが、社屋や設備機械は限界に達しており、将来義務化が求められるHACCPなどの安全衛生基準を満たせるものではなかった。その中で、会社を一つにして財務基盤を確立させ、必要な部分に投資して対応しなければ学校給食の提供継続は難しいと考えた。また、学校給食は先細りのマーケットであることは言うまでもなく、HACCPの考え方に沿った工場を建設し、設備も更新し、人的資源も整えて、外部の仕事を引き受けられる体制を生まなければ、会社存続が危ぶまれることを見越して、政府や教育委員会等からの助成や補助を一切受け取らず道央食糧供給Mを立ち上げた。
 そのような経緯から、従来2社で担っていた旭川市の学校給食を1社に統合した」
 伊原氏は、1956年生まれ。北海道大学経済学部を卒業後、証券会社に入社。東京で3年、札幌で3年、証券マンとして力を発揮した。
 「大学を卒業したら、製パン企業で修行するものと思っていたが、先代社長の父も若かったこともあり、自由が許され野村証券に就職した。但し、数年後には会社を継承するため美唄に戻ることが条件だった。1985年、美唄に戻り家業の経営を一から学んだ」と伊原氏。2018年、北海道パン・米飯協同組合理事長に就任し2期目を迎えている。
 北海道では、札幌市・旭川市・函館市・釧路市・江別市が学校給食専業で経営が成り立つが、他の市町村はほとんどが兼業で学校給食パン・米飯を製造しているという。
 同社は、学校給食パン・米飯の製造を軸にしているが、相当な借り入れを返済するためのベース事業という位置付け。給食の食数は減少の一途であるため、それを上回る新規事業を受注しなければ利益は生まれない。かといって、スーパーマーケットで大手製パンメーカーと価格競争を繰り広げるような市場を狙っているのではない。
 「今後の日本は、益々高齢化が進み人口減少が著しくなる。働き手が減るばかりか働き方改革もさらに浸透し、衛生基準も厳しくなる。そのようなことを考え合わせると、パン・菓子・土産物の大手メーカーが外部委託に頼るニーズが間違いなく高まると予想している。その時に選ばれる会社であり、工場でなければならない。そのように鳥瞰すると中堅で下請けとして役立つ工場がなく、大手メーカーから声を掛けてもらう機会が増えている」。
 製造品目の構成比は、学校給食関連が約8割、新規受注品が約2割。学校給食の内訳は、米飯約7割、パン約3割。新規受注品については、自社の名が出ることは求めず、黒子に徹している。困った時は「道央食糧供給」に頼め、と業界内で認知されることを目指しているため、特に代表銘柄は存在しない。
 昨年12月より、北海道の有名菓子メーカーのパン部門で、コロナ禍による通信販売用の食パンを製造することになったという。また、日本企業が製造する海外向け製品も手掛けている。
 「大手メーカーの黒子に徹するためには、真面目に、約束を守り、発注先が期待するクォリティを超える品質を実現することを目標にしている」。
 HACCPは、NATIONAL HACCPを取得している。北海道HACCPや札幌HACCPもあるが、品質の最上級を目標に掲げている以上、衛生管理も最上級でなければいけないという。
 米飯HACCPは、学校給食のみを対象にすると、朝に炊いた米を必ず昼に食べるため、空気中のチリの数等の基準が若干低く設定されているが、それ以外はNATIONAL HACCPと同じ。始まりがパン製造工場に炊飯設備を導入して操業しているため、明確に壁で仕切られていない、清潔区域入るための無窓空間が作れない、など様々な問題があって、認証取得は厳しいようだ。
 「弊社は、設計時よりHACCP対応を念頭に置いて建設しているので、全く問題がない」。
 コロナウィルス感染拡大防止による学校給食休止で加工賃収入は無くなり、残りの新規受注品も北海道に来る観光客激減で土産物等の発注が減り、全国各地で百貨店が開催する北海道展向け製品もほとんど無くなったという。
 「前年3月分加工賃収入の90%が補償金として支給され、4・5月は交付金として若干支給されるなどの政府対応策が講じられたが、学校給食制度と併せて、今後の学校給食と供給業者に対して如何に在るべきかをコロナ禍が教えてくれたように思う」。
 続けて、伊原氏は今後力を入れる事業と将来展望を次のように述べた。
 「学校給食事業で給食そのものを増やすためには、朝食給食の実現しかないと考える。幾ら児童・生徒が減少しようとも『子どもたちが喜んで食べるものを提供して完食させる』ことを目指してパン・米飯を製造すること。
 HACCP対応の工場で製造するパン・米飯では、クレームは極めて少なく、年に1〜2回程度しかない。北海道教育委員会や栄養士には、弊社の工場見学を勧めている。見学や視察が入る時に建屋の修復や設備の清掃に時間をかけることが嫌で『新工場建設の際、施設を開放し何時でも、今からでも見せられる工場にしたかったから頑張った』。HACCPの力を借りてこの精神を継続したい。
 給食以外の新規事業は、前述のように困った時は『道央食糧供給』に頼め、と業界内で認知されるよう品質に磨きをかけること」。

【道央食糧供給M】
〒078-8274北海道旭川市工業団地4条3丁目795-2
電話0166-36-1070
事業内容=旭川市及び上川・空知管内18市町の小・中学校に給食パン・米飯を提供
▽従業員数=25名
▽アクセス=JR旭川駅・旭川空港より車で約20分

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