新年記者会見・新年会 日本パン工業会
諸問題への対応とともに
顧客に喜ばれる価値ある製品を提供する

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 一般社団法人日本パン工業会(飯島延浩会長)は1月18日、東京都千代田区のKKRホテル東京で1月定例会議を開催、終了後に同会役員と全国パン専門新聞協会との記者会見を行った。出席者は、飯島会長、盛田淳夫副会長、安田智彦副会長代理の高井直樹氏と阿部勲専務理事。

 先ず、飯島会長(山崎製パンM社長)が次のように述べた。
 元旦に発生した「令和6年能登半島地震」では、多くの尊い命が奪われ、また多数の家屋やビルが倒壊し、避難所生活を余儀なくされている人々が大勢おられる。
日本パン工業会も地震発生翌日の2日早朝から、国・石川県の要請により、被災地への緊急食料支援に協力させていただいた。製パン業界は、どんな困難な状況の中でも、原材料供給面では関連業界から多大な協力をいただきつつ、今後も継続して、当会に与えられた社会的使命である、被災地に必要とされる食料支援に全力で取り組む。
 この度の地震等により、亡くなられた方々の冥福を祈るとともに、被災者にお見舞い申し上げ、被災地の一日も早い復旧・復興を祈念申し上げる。
 さて、新年に当たり、製パン業界の現状や課題をいくつか申し上げる。
 原材料・エネルギー価格及び人件費の高騰等に関して、昨年は多くの会員企業で7月に価格改定を実施したが、多くの取引先や消費者の理解をいただき、業績は総じて回復傾向にある。しかし、諸物価高騰による節約意識は一段と強まり、販売競争が激化している。このように厳しい経営環境の中で、引き続き会員各社が、それぞれ知恵を出して間違いのない施策を講じ、顧客ニーズを的確に捉え、製品の品質向上、値頃感のある製品も含め幅広い価格帯の製品を揃え、製品の安全確保に万全を期す必要がある。
 一昨年10月の輸入小麦政府売渡価格改定において、価格の算定期間を6カ月平均から年間平均とする緊急措置が講じられ、さらに昨年4月の麦価改定では、1年間での買付価格の上昇が13%であったところ激変緩和措置により5.8%に抑えられた。その結果、昨年1月の3回連続パン類の大幅値上げが回避できた。また、昨年7月の食パン・菓子パン類の価格改定では、約10円アップと改定幅を抑えることができ、安定した価格での製品提供が可能となった。
 昨今の食料安全保障の確保に関する議論があるように、不安の高まっている世界的な農産物需給の動向等を踏まえ、パン製造に不可欠な原材料・資材の安定調達に日頃より十分注意しておかなければならない。
 加えて、外国人も含めた人材確保が各社にとって大きな懸念事項であり、物流2024年問題への対応、食品ロスやプラスチック使用量の削減、低炭素社会の実現などSDGsの取り組み、適正な食品表示への対応等、製パン業界を取り巻く諸問題にも継続して取り組む必要がある。
 近年、パンの消費に伸び悩みが見られる中、パン食の普及・PRへの取り組みや日本パン技術研究所等による人材育成、全パン連における学校パン給食の推進に対する必要な支援を実施することも重要。
 当工業会は、昨年10月に創立60周年を迎えた。次の新しい第一歩となる2024年が、製パン業界、関連業界にとって充実した新しい前進の年になるよう、諸問題への対応とともに、顧客に喜ばれる価値ある製品の提供等に一層努力したい。

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記者会見の様子

新年会で挨拶する飯島会長