50th Anniversary Gravenstein Apple Fair(グラベンシュタイン・アップルフェア)[後編]〈カリフォルニア州〉 りんごを使った食品や飲み物が集結
「農業の未来」パネルディスカッションも

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会場の様子

カラメルアップルの早食い競争

二人のボランティアが待機している大きなゴミ箱
 

乾燥りんご、アップルサイダービネガーなど

アップルパイなど

「アップルフリッター」を揚げる

 50周年を迎えた「グラベンシュタイン・アップルフェア」は8月12・13日、カリフォルニア州セバストポル市レイグル・ランチ・パークで開催された。同フェアは「グラベンシュタイン」りんごを主役にした農業全体を祝う祭り。今回(後編)は、同フェアで販売されていたりんごを使った食品や飲み物などをレポートする。

《人気のりんご加工品》
 「リトルアップルトリーツ」のダン・レアーさんは妻のジャン・クルーガーさんと10年前から自宅のリンゴ園で収穫したりんごでアップルサイダー・キャラメル、乾燥りんご、アップルサイダービネガー、シュラブなどの加工品を作り始めた。
 中でも、フランスの伝統的な非加熱・無ろ過製法で作られた「アップルサイダービネガー」が人気を博している。リンゴ果汁を数週間1次発酵させ、クラフトサイダーを作った後、樽で13〜18カ月かけて樽で2次発酵。アルコール分を酢酸に変えるのには時間がかかる。「出来上がったアップルサイダービネガーは、透明でりんごの味がします」と、ダンさん。
 「シュラブ」は、果物を注入したアップルサイダービネガーに少しの砂糖を加えたもの。  続けてダンさんは「シュラブのことを知らない人はまだ多いですが、糖分が少なく、酢なので健康に良い飲み物です。アルコールや炭酸水と混ぜて飲むことができるので、ここ5年の間に人気が出てきています」と語った。
《焼き菓子に最適な「グラベンシュタイン」》
 「パティスリー・アンジェリカ」は、ペイストリー、チョコレート、ケーキを販売する27年の歴史があるベーカリー。5年前に店を引き継いだオーナーのジャーガナ・クラベロブさんは「このフェアには地元のパティスリーとして毎年参加しています。コミュニティが素晴らしいです。『グラベンシュタイン』はガレットで食べるのが一番美味しいと思いますが、フランジパンタルト(カスタードクリームとアーモンドクリームを合わせたフィリングのパイ)やペイストリーなど何にでも合います」と話した。
《人気の「アップルフリッター」》
 フェアの参加者が一番楽しみにしている 「アップルフリッター」は、輪切りにした「グラベン シュタイン」を牛乳、卵、小麦粉の衣をつけ、こめ油で揚げたもの。主催者の「ファームトレイル事務局」ボランティアが販売し、活動資金にしている。「揚げたてを味わいたい」と1日中長蛇の列。今年は列に並べず食べられなかったが、以前に味わった粉砂糖のかかったフワフワのドーナツ生地に包まれた、りんごのトロッとした自然な甘さは忘れられない。
《ドライなクラフトサイダーも》
 フェアには、クラフトサイダー会社が16社参加していた。「ティルティッド・シェッド・サイダーワークス」のオーナー、スコット・ヒースさんは13年前にクラフトサイダー作りを開始。その頃、同業他社は少なかったそうだ。
 「私たちはドライなクラフトサイダーが好きなので、それに特化し、お客様にお勧めしています。クラフトサイダーは甘いイメージがありますが、私たちのドライなサイダーを飲むとほとんどの人が気に入ってくださるんですよ。でも、ワインやビールに比べたら、ずっと小さいニッチ市場であり続けるだろうと思います」  ノンアルコール「エリーズ」は、一度クラフトサイダーを作ってから、真空蒸留してアルコール分を抜くというこだわりの製法で作られているので、ノンアルでも美味しいという評判。
《目標は「ゼロウェイスト」》
 「ごみをゼロにすること」を目標に、会場には大きなごみ箱が8カ所設置されていた。二人ずつ配置されたボランティアが、4つに分別されたごみ箱のどこに入れるか誘導してくれる。他にも、水のペットボトルは販売されず、給水所が設けられ、アルコール類はグラスを購入して飲めるようになっていた。
 50周年を迎えた「グラベンシュタイン・アップルフェア」では、カラメルアップルの早食い競争などのコンテストや「農業の未来」についてのパネルディスカッション、VIPエリアなどもあり、大盛況だった。
(文・写真:田原知代子)

【50th Anniversary Gravenstein Apple Fair】
▽開催地=Ragle Ranch Regional Park 500 Ragle Rd Sebastopol, CA 95472

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「アップルフェア150周年ボトルなど

「農業の未来」パネルディスカッションの様子