「ブーランジェリー イチ」東京都大田区
メソンカイザー出身職人の新店
欧風パン一筋の商品構成

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店長の市毛理氏

西馬込駅から徒歩1分にあるブーランジェリー イチ

黒を基調とした什器

レジの下に冷蔵ケースを配置

常連客には積極的に声をかける

タルティーヌは売り切れ次第再度つくる

好評のタルティーヌ

定番のバケッド

サンドウイッチは一律449円

 東京都大田区西馬込に2006年3月に開店した「ブーランジェリー イチ」。店主の市毛理氏は「メゾンカイザー」で4年間働いてきた経験の持ち主だ。
 奥さんの朋子さんも「メゾンカイザー」で製造をしていたシェフで、サンドイッチなどの調理や、キッシュを担当している。独立と同時に結婚、二人三脚で店を運営している。
 市毛氏は、恵比寿のレストラン・ホテルへの卸専門のベーカリー「パンテコ」で修行を開始、その後、青山紀ノ国屋などを経てメゾンカイザーに入社。チーフとして複数店舗を指揮する役目を担った。
 その頃から、独立を具体的に意識しはじめた市毛氏は、2005年10月に現在の店舗を見つけたことをきっかけに、独立へのアクションを起こすこととなる。
 店舗は国道一号線沿い、西馬込駅から徒歩30秒ほどの好立地。店は5〜6人が入るといっぱいになるほどの小振りな広さしかない。独立を応援してくれたメゾンカイザーの木村社長からは、「店が小さすぎると心配されました」と市毛氏は振り返る。「西馬込は4年ほど住んでいたので土地勘もありましたし、近くに高級住宅街もあるため、バケッドなどが受け入れられると確信していました」
 商品は欧風のハード系が中心で、あんぱん、メロンパンなどの日本の定番菓子パンは置いていない。商品の配合は「メゾンカイザー」のレシピをアレンジしたオリジナルのものだ。「ハード系のパンが好きで、食事向けのパンを提供したかったんです。あんパンなどへお客様からのリクエストも実際ありましたし、本当はあんパンも好きなのですが、作るとなると行程が変わって作業に支障がでてきてしまう。小さな店だから、置ける商品も限られているので、品数を絞ってクオリティを上げていくことを選びました。もちろん同じ商品だと飽きられてしまうため、新商品を1カ月に1つ以上考えて新陳代謝をさせています」
 ベシャメルソースなども市販品は使用せず、丁寧に商品を造りあげる。小麦粉は主に日本製粉の外麦を使用しているとのこと。
 「メゾンカイザー」では液体の天然酵母「ルヴァン・リキッド」をルヴァン製造器で作っているが、同店の天然酵母作りは手作業だ。「使用する量が全く違いますし、作業場に機械を置くのもスペース的に難しかったんです。でもルヴァンの質は機械のものと変わりません」と、「ルヴァン・リキッド」のことを熟知した市毛氏ならではの技術力で酵母を仕込む。
 仕込む生地は5種類。店頭に並ぶ30〜35種類ほどが店頭に並ぶ。
 欧風パンがメインのラインナップに対して、来客層は「最初20〜40代のお客様がいらっしゃると思っていたのですが、予想以上にご年輩の女性が多くご来店されました」と意外な反響に驚いたという。
 それでも、独立して初めての夏を迎え、天気や季節での客足の変動を肌で感じ、戸惑うこともあったそうだ。
 「今まで働いてきた大規模店舗と、ブレ幅が大きく異なりました」という通り、夏場は客足が落ち込んだ。だが、冷蔵ケースを導入し、サンドイッチに力を入れることで売れ行きが回復。今では開店当初より好調な売り上げを推移しているという。
 店内は男性にも受け容れられるやすいシックなインテリア構成。店内には市毛氏の所蔵しているジャズCDがBGMとして流れ、男性客比率も高いそうだ。
 同店の商品タグを見ていると、99、199、299、499円など、すべて末尾が9円の価格で統一されている。  市毛氏は「自分自身がレジを打つので、分かりやすくしたかったんです。そしてもう一つの理由は、お客様に高い、安いという基準ではなく、味でどの商品を買うか迷ってもらいたかったから」と経営努力を伺わせる。
 「今後はキッシュやサンドウィッチを売りにしていきたい」と市毛氏。調理系を中心にした商品力の向上を、同店のステップアップに昇華していくようだ。
【ブーランジェリー イチ】東京都大田区西馬込2-2-1小沢ハウス1F、TEL03-5742-5162、営業時間10時(日曜のみ9時)〜19時(売切れ次第終了)、月曜・火曜定休
ベーカーズタイムス2006.12.10号掲載

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