 ワイン
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東急田園都市線三軒茶屋駅から南東に歩いて約10分、近くには世田谷公園があり、通りには商店やファミリーレストランが並ぶ住宅地にある「シニフィアン・シニフィエ」は、10月19日に元ユーハイムの志賀勝栄氏がオープンしたベーカリー。
今までのイメージではない、新しい感覚のパン専門店だ。
オーナーの志賀勝栄氏がパン業界入ったのは21歳。30歳まで都内のインストアベーカリーに勤務し、42歳までアートコーヒーに在籍した。その後45歳まで代官山のアルトファゴスの立ち上げを行い、45〜51歳まではMユーハイムでペルティエ、ユーハイム・ディー・マイスター、フォートナム&メイソンの3ブランドの立ち上げを行った。今年3月に同社を円満退社(退社後も顧問として在職)し、Mアートアンドクラフト研究所を設立し、「シニフィアン・シニフィエ」の開店に至った。
店を持って「自分のブランドを立ち上げたい」と思い始めたのは、46〜47歳の頃だった。
「店のコンセプト、イメージ、商品構成から包装資材に至るまでを自分の手でゼロから始めてみたいと考えるようになりました。やはり、いろいろなブランドの立ち上げに関わってきたことが大きく影響したと思います」と語り、続けて「実は、この店も完成しているわけではありません。最低限度のパンは販売していますが、私とスタッフが試行錯誤しながら運営している状態です。店のコンセプトをブランドとして世に送り出すには、これから1〜2年が必要だと考えいています」
場所は当初、吉祥寺や三鷹といった中央線沿線か井の頭線でも限りなく吉祥寺に近い郊外を考えていたが、年内のオープンを決めていたので、時期を逆算すると年明け早々にも物件の契約しなければならなかった。その時点で最良の物件がこの場所だった。
客層や競合店は全く考えなかった。
「私が作るパンを買いたいと思っておられる方に来ていただけれはいいと思っています」とあくまでオリジナリティを強調する。
店舗は路面より少し下がっているので、バリアフリーにして老人やベビーカーでも入り易くしようとも考えたが、そうすると志賀氏の描いた雰囲気とは異なることになるので断念した。
「普通のパンを扱っている店と商品が違うため、店構えも一線を画さなければ、アンバランスだと考えたからです」
店名を直訳すると「意味するもの・意味されるもの」。哲学の言葉でシニフィアンは「誰もが共有できる事実」、シニフィエは「個性的なイメージ」を表す。常に新しいものを追求し、創造していくことを大切に考えている志賀氏のパン作りの姿勢を表す言葉でもあるようだ。
高品質・高価格は、リテイルベーカリーの将来を考えた先駆的役割を担っているのかの質問には、「ユーハイム時代から高品質・高価格には随分挑戦してきました。その延長線上ではあります。どうしてもフランス産の小麦粉などの原材料費が高いことが要因です。高いパンを作りたくてフランス産の小麦粉を使っているのではなくて、何らかの旨みがあるから使っているのです。水も海洋深層水(室戸沖の硬度1000)に含まれている50種類ぐらいの微量元素が身体に良いと考えて使っています。これらを使うには意味と裏付があるんす。それにプラスして、いかに皆さんの健康に貢献できるかということを考えると、水素添加した乳化剤や油脂は一切使用できませんし、できる限り自然の酵母を使って、じっくり寝かせています。また、美味しいものであればできるだけオーガニックの食材を使い、今の自分にできるベストな味であり、健康を考えたパンを提供したいと思っています。
ですから、ここでしか買えないパンばかりで、全てオリジナルの商品です」とパン作りの信念を語る。
また、パンに対するこだわりを伝える方法について志賀氏は、「インターネットは言うまでもありませんが、販売方法はコンセルジュスタイルを採って、一人のお客さまに一人の販売員がついてパンの材料や作り方などを丁寧に説明します。決して安いものではありませんので、テイスティングスペースでは、飲み物とパンのおかわりが自由というセットを1230円でご提供し、いろいろ食べていただいてから、その中でほしいものを選んでもらうようにしています。
また、大型のパンは全てスライス1枚から買えますし、全てのパンに100グラムの単価を表示していす」
さらに、「この店だけでは採算が取れないと考えているますので、インターネットでの販売を準備中です。個性的で付加価値の高いパンを売っていくために商圏を全国に広げられるインターネット販売は良い方法だと考えています。大型のパンなので、製造面でのコストがあまりかかりません。その分、販売に力を入れようと考えています」とも語った。
製法は「今までやってきたオーバーナイトのやり方を深く突き詰めて、そこに、ルヴァンを使うスタイルを複合させています。
シンプルなパンの味を決定するのは、配合ではありません。どのような気泡にするかということと、どんな工程管理にするかでしか、差が出せません。そこを変化させることによって味の差や香りの差を出すことに挑戦し続け、常に進化を楽しむことこそが、私のパン作りだと考えています」
同店では、チーズやワインも併せて販売している。
フランスから直送されてくる食べ頃、飲み頃のものを季節に応じて楽しむことができる。今後は試飲会なども開催する予定。
商品構成は、ハード系とクロワッサンのみ。現在、ギフトにできる甘いハード系のパンを開発中。パンもお菓子やケーキのように普段使いの手土産や中元・歳暮の商品にできる可能性があると考えて、積極的な取り組みを続けている。
今後の展望は、店舗の完全完成とインターネット販売のインフラ整備。
「インターネットでのパン販売は上手くいかないとよく聞きますが、私のパンはここでしか買えませんし、商品に個性と付加価値があると自負しています。完成度の高い商品作りが成功への鍵だと考えています」
売上目標は月間600万円。それが達成できればインターネット販売に着手する。
▽建物40坪、売場25坪、厨房15坪、テイスティングスペース12席、駐車場なし▽主な設備オーブン1台、ミキサー2台、ドウコン3台
▽従業員 正社員4名(製造2名、販売2名)▽商品アイテムはハード系8種、食パン2種、クロワッサン1種、チーズ、ワイン
▽客単価=1500円
【シニフィアン・シニフィエ】 所在地=〒154-0002 東京都世田谷区下馬2-43-11、営業時間=11時〜19時 定休日火曜日・第1、第3月曜日、TEL/FAX=03-3422-0030、最寄り駅は渋谷からバス「自衛隊中央病院前」徒歩1分、東急田園都市線「三軒茶屋」徒歩11分
ベーカーズタイムス2007.1.10号掲載
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