「パン・アトリエ クレッセント」茨城県龍ヶ崎市
既存の枠にとらわれない経営方針
パン職人を目指す若者が夢を持てる労働環境を

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福島敏史シェフ

「ミルクフランス」は一番人気

サンドウィッチ類もランチによく出る

顧客とフレンドリーに会話を交わす

隣には食品スーパーが建つ

カウンターに商品の7割前後を陳列

 龍ヶ崎ニュータウンの一角に2001年12月オープンした「クレッセント」。地域密着店として、地元に絶大な人気を誇るベーカリーだ。
 福島敏史シェフは、以前サラリーマンをしていたが、父親が事業のひとつとして市内のショッピングモールにベーカリーを立ち上げ店長に就任。当初は経営の立場だったが、職人の退職などで製造をしなくてはならなくなり、職人の世界へ足を踏み入れた。
 働きつつ、同時並行で学ばねばならなかった福島氏は、貪欲に知識と技術を吸収する努力を重ねた。「様々なベーカリーを見て回ったり、数多くの講習会にも参加しました」。
 特定の店舗で経験を積まなかったが、「逆に考えるとひとつのやり方に凝り固まらず、柔軟に様々な店のいいところを取り入れ、基本を身につけることができました」。
 具体的には「商品の『味』はもちろん、形や色といった『表情』、店の『雰囲気』まで、多くの店舗を研究したんです」。
 中でも福島シェフを魅了したのが、リテイルベーカリー協同組合理事長・明石克彦シェフ率いる「ベッカライ・ブロートハイム」だ。味、ホスピタリティ、対面販売方式、様々な面を参考にしたそうだ。結果、自分のやりたい店をやるためにはいろいろ制限のあるインストアでは実現できないと、前の店を飛び出して作ったのが現在の店だ。
 日々研鑽を重ねた結果、商品の製造方法や味は、オープン当初から進化を繰り返しているという。「基本の配合はあっても、粉の篩い、生地の扱い方、ちょっとしたことで味が変わるから」と熱心だ。
 同店の生地は、水分量が標準のものより多めだが「水分量が多すぎても生地にストレスを与えるし、味の骨格が作れないんです」と配合の微妙な加減を福島氏は説明する。
 同店が広く知られるようになったのは、インターネットでの口コミがきっかけ。「ネットでフランスパンやベーグルがおいしいと紹介してもらったので、ハード系が多いイメージがお客様の中にあるようです」。
 だが、一番商品数が出るのは総菜系。福島氏は「商売が下手で」と謙遜しながら「総菜系を増やせば売り上げも上がるのでしょうが、ハード系など作りたいアイテムがあり、ついハード系が3割ほどになってしまうんです」と語る。
 以前はインターネット商店街の楽天で通信販売を行い、多い月で300件、90万円ほどの売り上げを誇っていた。しかし「キャパシティが追いつかなくて製造にも無理が出てしまうので」(福島氏)1年間で撤退してしまう。しかし「今後は同店独自のホームページで通販を展開していくつもりです。うちのパンの味を遠方の人でも楽しみにしてくれる人が多いことがわかったから」と意欲を見せる。また同店は通販の他にも、ゴルフ場や病院に卸したり、出張販売などをしている。「既存のお客様が大切ですが」と福島氏は前置きをしながら、もっと利便性が高く、広い立地に店舗を移転させる夢も持つ。
 既存の枠にとらわれない福島氏の姿勢は、他でも見て取れる。「従業員にはせっかく働いてもらうからには長く勤めてもらいたいし、好きなパン作りを思い切りしてほしい。利益が出たら還元もしたい。企業として人材の労務をキチンとしたいんです」と、朝から晩まで働かねばならない労働環境をいかに変えるかも、大きな課題という。
 「パン職人を希望する若者が、夢を持てるように改善できたら嬉しいです。そのためには『パン屋の常識』にとらわれてはいけないと思います。労働条件も、それに見合う対価を反映できる価格も」と、パン職人として、企業の経営者として、多角的な観点で福島氏は展望を抱いている。
【パン・アトリエ クレッセント】
茨城県竜ヶ崎市松ヶ丘1-19-3、TEL/FAX0297-64-0144、営業時間=7時〜19時、定休日月曜

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好評のフランスパン類

クロワッサン(140円)