タンドルマン 福岡市城南区
美味しさを、より理解してもらうために自家製の食材を合わせて提案

BACK

 

 

渡辺裕之氏

店舗の外観

パンの種類は、平日で60種類、週末には90種類にのぼる
 

店内の中央にはおすすめ商品が並ぶ

カリフォルニアレーズン鉄人大賞受賞商品の「味噌レーズン」

自家製ガーリックバター

 「タンドルマン」のオーナーシェフは、カリフォルニアレーズン大賞、鉄人大賞の受賞者である渡辺裕之氏。
 2004年3月のオープン以来、コンテスト受賞作品、サンドイッチなどを中心にした商品で、順調に売り上げを伸ばしている人気店だ。

 渡辺氏は熊本出身。洋菓子店、料理店を経て、福岡の百貨店「岩田屋」の直営店で8年間修行した後、タンドルマンを開店した。
 渡辺氏は決して人気商品ばかりに傾倒はしていない。「ライ麦パンなどは、福岡ではまだまだ受け入れられていませんが、売れないから作らない、とは考えていません。クリームチーズやドライトマト、オリーブオイルなどをかけて食べやすくしてから試食に出したり、バターなどと一緒に販売をしたり、フィリングとしてクリームチーズを入れた商品を販売したりと、少しでもおいしさを理解していただく努力をしています。食卓での団らんを提案していきたいんです」と語る。
 トータルな提案のために、自家製のガーリックバターやドレッシングを開発したり、食材などを合わせて販売するという形態は、同店の大きな特長といえる。
 同店には、市外はもとより県外からも客足が途絶えない。「遠方から来られたお客様が、大量に購入された商品を近所に配られたりして、口コミでファンが広がるといったことが起きているようです」と渡辺氏。時には店に、ファンから手紙が届くほどだそうだ。
 商品は平日60種類、週末は90種類。仕込み生地数は40弱。新商品も毎月10〜15種ほど登場する。
 「閑散時には従業員たちと食事に行き、新しい素材や組み合わせをみんなで見つけます。初めはアドバイスもしますが、2年目にもなると新しい発想で素材を発掘し、それに合う生地まですべて自分で考えられるようになりますね」と話す渡辺氏は、労働環境改善に熱心で、パン職人になりたい人がパン屋が嫌にならないように、と配慮をしている。
 「リフレッシュも必要なので、完全週休2日にしています。労働時間も8〜9時間ほど。四六時中パンのことを考えているより、ゆとりが生まれて全力で働けるようになりますし、目先のこと以外のことも考えられるようになると思います。私自身も子どもが小さいので、休みを積極的に取るようにしています。まず店長である私自身がプライベートを大切にしていることを見せないと…」と渡辺氏。
 同店の従業員の定着率は大変高く、オープン以来、病気以外の理由で辞めた人はいないという。
 酵母はイーストと自家製酵母。粉も外麦を中心に様々なものを使用している。「基本をねじ曲げないようにしている」という製造はオーソドックス。その中で、長時間労働を避ける最大限の努力を惜しまない。
 同店の店舗を作る際には、以前勉強会で学んだ電力、動線、経営論などの知識を活かし、自らが設計。「おかげで設計料がかかりませんでした」と渡辺氏は笑う。
 また、渡辺氏はパン職人の勉強会で、セ・トレボンの大西かおり氏、シェ・サガラの相良一公氏などをはじめとするメンバーが3カ月に一度のペースで開催している「E/F/B」に参加。福岡、九州だけではなく、他県の職人とも積極的にコンタクトを取り、情報交換を欠かさない。その繋がりから研鑽が生まれ、店舗運営に生かせているようだ。
 今後の目標について渡辺氏は「多店舗展開は考えていません。目の届く範囲でお客様へ納得いく商品を提供していきたいからです。ただ、駐車場やイートインスペースを広げられたら本当はいいのですが…」と話してくれた。

【タンドルマン】
▽所在地=福岡市城南区茶山4-14-15▽TEL=092-873-1745▽営業時間=8時〜19時▽定休日=第1・第3日曜日

前へ戻る

自家製ドレッシング