ブーランジュリー「K・ヨコヤマ」埼玉県川口市
人材の育成に力を注ぎ、スタッフの成長に合わせパンもレベルアップ

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緑に囲まれた店舗外観

日本に1台しかない、オリジナルのスペイン式回転石窯

明るく、清潔感のある、店舗内の様子

 Boulangerie K.YOKOYAMAは、料理や菓子の美味しさをパンで表現するために、自家製パン種やスペイン式回転石窯を使用し、具材もオリジナルレシピで自家製造している。
 また、スタッフに対して様々なベーカリーコンテストへの出品や将来独立に必要な技術的支援を積極的に行うなど、人材育成にも力を入れている。

 オーナーシェフの横山暁之介氏は、1954年、高知県生まれ。東京銀座の高級レストランで5年間フランス料理を修業。その後、プロバンス料理店のシェフとなり、そこで作曲家で指揮者のマエストロ菅原明朗氏に出会う。「シェフの料理は、パリの味がする」と絶賛され、数々の著名人が店に訪れるようになった。
 そして、菅原氏に三食の食事を任され、3年間菅原家の料理人を務めた。
   「ハレの日ではなく、日常の食事を作るのですから、この期間が、もの作りの考え方の基礎になりました。また、著名な人達の自然な立ち振る舞いに感銘し、大きな影響を受けました」と横山氏は語る。
 その後、大手パンメーカーからオファーを受け、同社の商品開発部長、執行役員、アメリカ、台湾、韓国でベーカリー、レストランの技術指導等を歴任した後退社。2004年6月1日、Boulangerie K.YOKOYAMAをオープン、翌2005年11月には、法人化してK.YOKOYAMAMを設立した。

パンの魅力は日常性と気安さ
 店舗の場所は、JR京浜東北線、武蔵野線南浦和駅東口より、南東へ約徒歩15分。大通りに面し、周辺は市街地調整区域で、住宅の開発が進められている。来店客は、近隣に住む人が多く、圧倒的に車の利用が多い。
 「若い人から年配の方まで、幅広く色々な人が来られます。パン屋なので、分かり易く、感じの良いことが基本です」と横山氏。
 「パン作りの魅力は日常性と気安さです。そして、そば、うどん、ごはんと同様に、組み合わせが色々と楽しめること、素朴で生きる上で必要なものだという点です」と語り、その美味しさを引き出す製法について、次のように語る。
 「パンの基本は生地です。生地そのものが、良くないと繰り返し食べたいと思いません。そして、粉と発酵でパンの良し悪しが決まります。シンプルなものこそ、自然の旨味があり、これがパンの美味しさの基本だと考えています。
 その素の一つに、パン種があります。当店は、多加水、長時間発酵、冷蔵発酵、冷蔵中種、ルヴァン、サワー種、液種、菓子用種を使用しています。フィリング類もほとんどが自家製で、カレー、ピザソース、ハム、ベーコンはもちろんのこと、穀物の加工も行っています。ジャムやカスタードなども、仕入れ品の使用を考えたこともありません。ソーセージは、ジャーマンケテルスの工場長直伝の伝統的レシピで製造したものを使用しています。
 また、大部分のパンをスペイン式回転石窯で焼いています。特長は蓄熱性に尽きます。例えば、食パン3斤を20本入れても約20分で焼成できます。連続で焼いても全く温度変化がありません。通常の石窯は、下が耐火モルタル、上が鉄板なので、火の当りが強いのですが、当店のものは、厚い石を全面に貼ったオリジナルなので、火の当りが柔らかくなっています」
 売れ筋商品は、バゲット「マエストロ」、バゲッティーヌなどのハード系やK・イギリスなどのブレッド類。

採用の基準は本質的な素直さ
 人材育成については、大手製パンメーカー時の経験を活かし、次のように行っている。
 「組織で動くことを叩き込まれましたので、評価の仕方などに役立てています。パン店の従業員が定着しないのは、オーナーの目線で評価している点と、相対評価だけで能力を決めてしまう点にあると思えてなりません。絶対評価や目標に対する達成度を基準にするべきではないでしょうか。
 また、技術や能力には、必ず然るべき対価を取るべきだと考えています。従業員一人一人がより腕の良いパン職人に成長し、将来的には、全ての部署でプロフェッショナルレベルになり、相当の対価が取れる一流のベーカーに育てたいと考えています。
 スタッフ採用時の基準は、本質的な素直さ、人に対する優しさ、清潔感です。こういう人は、動機がしっかりしていて、目標を持っていれば、必ず成長します。
 一流のプロを目指す厳しい集団ですが、その中でもコミュニケーションを十分にとり、周りや弱者を気遣う気持ちを忘れないことが重要です。そして、職場は気持ちの良い空間でなければいけません。もの作りの楽しさを実感し、一人ひとりが『感じのいい人』になるように導くことが、人材育成の基本だと考えています」
 横山氏は従業員の志と熱意を積極的にサポートする方法の一つとして、製パン講習・研修会、各種コンテストへの参加を支援している。特にコンテストでは、横山氏自らが、2006年に「カリフォルニアレーズンコンテスト鉄人部門『鉄人大賞』」を受賞するなど、スタッフの多くが様々な賞に輝いている。
 「コンテストは、優秀なパン職人になるための通過点で、最終到達点ではありません。しかし、チャレンジしなければできないことです」と横山氏。
 スタッフの代表的な賞歴は、次のとおり。
▽秋田雅生氏=2008年第17回カリフォルニア・レーズンベーカリー新商品開発コンテストグッドアイデア賞受賞▽難波伸樹氏=2007年第2回カリフォルニア・フィッグ・レシピコンテストベーカリー部門優秀賞受賞、2006年第1回フランス産小麦を使ったバゲットコンクール入賞▽堀越佳子氏=2007年大山ハムサンドイッチコンテスト入賞▽佐藤哲哉氏=2007年日清製粉「創・食Clubパンレシピコンクール」準大賞▽生井由香里氏=JBM協会認定製パン技術者検定試験クラスC(初級)合格
 また、同店での研修を希望する職人が多く、国内外を問わず研修生として受け入れている。近日、和食の職人を受け入れる予定もあるという。
 横山氏は、今後の展望を次のように考えている。
 「法人化して3年になりますので、年内に借入金を『0』にする予定です。そして、売上や規模の拡大ではなく、質の良いパンを買い易い価格で提供し、癒し感がある居心地の良い店舗空間を実現するための設備投資を行います。
 パン作りでは、パン食を楽しむため、流行り廃りのない提案を続けながら、パン屋としての菓子、ビストロを表現したいと思っています。また、スタッフの成長に合わせて、パンそのもののレベルアップを実現させ、商品構成を変化さたいと考えています。
 私の方針やスタッフの成果は、周りが評価することで、自身がアピールするものではないと思っています。大切なことは、パン食普及の本質を追及し、結果を残すことです。自然体で、結果を積み重ねる取り組みを、今後も続けていきます」

▽店舗面積=敷地120坪、店舗35坪
▽商品構成=食事パン(ハード系、ブレッド他)35%、ヴィエノワズリー20%、サンドイッチ20%、焼き菓子10%、その他15%
▽年商=2006年:1.4億円
▽客単価=平日800円、土・休日1,000円前後
▽営業時間=7時〜19時、年中無休▽駐車場=20台
【Boulangerie K.YOKOYAMA】
〒333-0857埼玉県川口市小谷場455-1
TEL048-263-0222、FAX048-262-0701

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売れ筋のハード系商品

スタッフとのコミュニケーションを欠かさない横山氏(中央)

スタッフのみなさん(受賞賞状を持って)