焼き立てパン工房「ゾンネンブルーメ」 福岡市西区
パン食文化の拡大を目的に大陽製粉がベーカリーを出店
全生地に自社のライ麦粉を使用

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チーフの江頭正樹氏

a店舗外観

店舗の屋内外に設けられたイートインスペースからは海が一望出来る
 

店舗内の様子。店内中央に大きく設けられたアイランドタイプの陳列棚

ビューリーバゲット(294円)

南ドイツで代表的なラウゲンブレッツェル(137円)

 「小麦は太陽からの贈りもの〜大地の恵みを、ニーズに応じた小麦粉に仕上げ、『食』を通じて健康に寄与すること」をモットーとする大陽製粉Mが経営する、ドイツパンを中心としたベーカリー「ゾンネン ブルーメ」。  福岡市街から車で約1時間、週末ともなると車で訪れる遠方からの客で賑わう郊外型ベーカリーを紹介する。

 「ゾンネン ブルーメ」は、製粉事業を展開する大陽製粉M(1943年創業、古賀脩平社長、本社:福岡県福岡市中央区那の津4-2-22)が平成17年8月にオープンさせた、自社ブランドの粉のみを使用するベーカリーだ。店名はドイツ語で「ひまわり」。社名の「大陽」から付けられた。
 オープンのきっかけは、古賀社長が「製粉会社としてパン食文化を広めるには、従来のように粉の販売をするだけでなく、店舗を設けてパンを販売していくことも必要」と考えたことによる。
 チーフの江頭正樹氏は、ベッカーマイスターのエルヴィン・ベッツ氏を父に持つ。エルヴィン・ベッツ氏は、1972年に日本企業の招聘を受けて来日し、日本各地でドイツパンの製パン技術の普及に携わり、大陽製粉でも商品の研究開発を手掛けている職人だ。江頭正樹氏は、父が懇意にしていたスイスのウェルナー・リュグゼガー氏の店を皮切りに、スイスとドイツで約8年半の経験を積み、「ゾンネン ブルーメ」立ち上げのために帰国した。
 店舗は、半島の海岸沿いに位置する。屋内外に設けられたイートインスペースからは海が一望出来る、ロケーションに恵まれた立地だ。近隣には海水浴場が多く、夏場が一年のうちで一番の繁忙期という。
 「お取引先のベーカリーと競合しない場所を選んだらここになりました」と江頭チーフ。顧客は、平日は地元客が中心、週末や祝日になると県内・外からの来訪客が6割を占め、季節や曜日によって集客面のバラつきが課題になっている。
 杉板がふんだんに用いられ、温かみある雰囲気の店内には、平日で約70種類のパンが並び、週末及び祝日にはこれに5種類が加わる。店の入口を入ってすぐ右手の壁際には、飲み物とサンド類3種が並ぶ冷蔵品コーナー、続く棚にはクグロフ等が4〜5種並ぶ大型菓子パンコーナーになっている。その奥の角はブロートタイプのドイツパンコーナーで、バウエンブロートやミッシュブロート等のドイツパン7種がそれぞれホールとカットの状態で並ぶ。中央にある大きな木製の陳列台(長さ5m×2m)は、上段が菓子パン、ハード系食事パンのコーナー、下段がデニッシュ・菓子パン、調理パン、食パン・バゲットのコーナーになっており、約60種のパンが並ぶ。
 人気商品を尋ねると、「全商品が平均して売れている感じです。原材料の高騰に伴い、商品価格は昨年10月に一律6%の値上げを行いましたが、特に影響はなく、むしろ顧客が増えたくらいです」と江頭チーフ。
 お勧めのパンは、ラム酒入りのオリジナルクリームにシロップ漬けの栗を載せた季節限定商品のデニッシュ・マロン(231円)、ライ麦粉70%、福岡県産小麦粉30%を使用したビューリーバゲット(294円)、小麦粉と大豆の粉を塩と水で捏ねあげた生地を50時間低温発酵させて、石窯でじっくり焼き上げたマイスターシュトゥック(351円)、南ドイツの代表的なパンで表面に岩塩を振ったラウゲンブレッツェル(137円)。本格的なドイツパンばかりではなく、白玉を入れたあんパンやサツマイモのペーストを包みこんだ菓子パンなど、日本的テイストのパンも揃えられている。菓子パンなどの甘さは出来る限り控え、卵は地元の養鶏場から新鮮なものを注文に応じて配達してもらうなど、顧客の健康志向も意識しているという。
 同店のパンの最大の特徴は、ハード系から菓子パン系まで、全ての生地に自社が得意とするライ麦粉を使用している点にある。ライ麦粉が、パンに味の深みと独特の香ばしさをもたらすポイントになっているのだ。使用しているライ麦粉は、ドイツ産ライ麦をドイツ製石臼で国内加工した「ブロッケン(全粒粉)」、「ハイデ(細挽き)」、粒タイプの「シュロート(粗割)」で、この他に石臼挽きの国産小麦粉をブレンドした欧州パン専用小麦粉の「ラインゴールド」などが用途に応じて使い分けられている。
 「ライ麦粉に含まれるミネラル分や繊維質などの栄養成分はメタボ対策にも繋がることから、中年層へのアプローチも狙っています。主食として、ご飯やおにぎりと同じ感覚でドイツ系のパンを食べてもらえるようになればと思っています。今後は、職人一人一人の技術を向上して、労働時間を短縮していける体制作りも取り組まなければと思っています。商品アイテム数を絞り込み、新しい物をもっと加えていきたいですね。地産地消の観点からも、現在一部商品に使用している福岡県産小麦粉『みなみの穂』をもっと活用していきたいと思っています」と今後の抱負を語る。
 新たな取り組みとして、ネット販売をスタートさせた。ブロートタイプのライ麦パン3種で、ライ麦全粒粉使用生地にライ麦の粒を加えたシュロートブロート(680円)、石臼挽きライ麦粉80%使用生地にひまわりの種を加えたゾンネンブルーメ(720円)、石臼挽きライ麦粉100%使用生地のロッゲンカステン(720円)。
 オープンから駆け足で過ぎてきた3年半、江頭チーフのこれからの展開に注目したい。

▽店舗面積=厨房10坪、売場35坪(イートインスペース20席:店内3テーブル×4席、屋外テラス2テーブル×4席)、駐車場12台▽販売形態=店舗販売主体(一部、飲食店への卸売あり)▽平均客単価=約870円(年平均)▽従業員=製造:3人、販売:2人

【焼き立てパン工房 ゾンネン ブルーメ】
福岡県福岡市西区今津4429-1(昭和バス大原西バス停より徒歩3分)
TEL092-806-8733、営業時間=平日:10〜19時、土・日・祝:8時半〜19時、定休日=木曜
HP=ゾンネン ブルーメ:http://www.sonnen.jp/
大陽製粉:http://www.taiyomil.com/

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菓子パン群

ネット販売しているドイツパン3種(左からシュロートブロート、ゾンネンブルーメ、ロッゲンカステン)