 バゲット(280円)
|
 季節商品、5〜6月のテーマは「抹茶」
|
福岡市内に3店舗を展開する「ブーランジェリー レスト」。立地条件を考慮して、3店舗それぞれの個性ある店作りを行っている人気店だ。
今回は、その展開のきっかけとなった2005年オープンの母店「御所ヶ谷店」を紹介する。
フランス語で「東方のパン屋」を意味する店名。ヨーロッパやフランス人から見れば、日本はまさに東に位置することから名付けられた。
福岡市の都心である天神から南西に約2km、閑静な住宅地でありながら老舗の洋菓子店や瀟洒な飲食店などが点在するエリアに御所ヶ谷店はある。周囲の住宅に溶け込むようにと、ファサードはアルザス風にデザインされ、木組みの落ち着いた外観だ。
2005年のオープン時の経営は、キャラクター雑貨の企画製造と直営店の展開を行うベネリックMであったが、今年3月、当初からプロデュースを手掛けていた池田裕之氏に経営権が譲渡された。池田氏はこれまでに、東京の「オーバカナル」や「ムーミンベーカリー&カフェ」を手掛けてきたが、オーナーシェフとしての場を持つのは初めてのこと。「50代を目前に、今出来ること、やりたいことを考えた結果」だという。
御所ヶ谷店は、ベネリックがすでに福岡市内にオープンさせていた「ムーミンベーカリー&カフェ2号店」にパンの供給を行う工場が必要となり、スタートした。そのため、売場を約4坪というコンパクトな広さに抑え、厨房を広くとっている。
現在、昨年6月にオープンした六本松店(2号店)、今年4月にオープンした平尾店(3号店)のパンの製造全てをこの店が担い、車でそれぞれの店に搬送している(共に15分圏内)。
ドアを開けると同時に目に飛び込んでくるパンは約60種類。フランス風の対面方式販売で、顧客側から見易いように、やや傾斜がつけられた平棚には、縦1列ごとに種類が分けられ、左から菓子パン系、調理パン系、中央辺りには彩りのあるキッシュ、デニッシュ、シュケットが並び、右手のレジ前にはサンド系が並んでいる。目の高さに位置する吊り棚には、バゲットなどのハード系や食パン系が並んでいる。近隣では犬を飼う人も多いので、犬用に塩分を控えたグリッシーニも販売している。
また、季節感のある商品をスポット的に提供している。5〜6月のテーマは「抹茶」で、ボストックなどを提供。夏に提案予定のサンド類は、従業員コンペを開いて決定した。
「それぞれの従業員が独立していけるように育てていきたい。従業員には『色々なものを食べて知ることが大切だ』と伝えています。食のトータルバランスを身に付けた上でのパン作りを目指してほしい」と池田氏は考えているそうだ。
生地アイテムは20種類、ルヴァン種とイーストを併用したものを主体に、自然発酵種のみを使用したものもある。
小麦粉は、1CWなど12〜13種類(外麦:内麦=7:3)を用途に応じてブレンドして使い分ける。一部には、石臼挽き機械で自家製粉したものを使う。石臼で挽かれた小麦粉は、加熱によるデンプン損傷が抑えられるため、小麦本来の旨味が活かされたパンになる。契約農家で生産された国産(三重県産等)のタマイズミを主体とした原麦は、香りと製パン性の良さで選んだ。この原麦を製粉会社でピーリングし、レスト内に設置している石臼挽き機械(田中三次郎商店製=福岡県小郡市)で製粉している。機械の下方に取り付けられた篩により、メッシュの異なる4種類の粉に分けられる他、ふすま部分が別に取り出される。ふすまはローストして食パン等に旨味として添加するため、ロスはほとんど出ない。
「身体に安心・安全なものを食べてもらいたい」と池田氏は言う。その思いが顧客に直に伝わる、月に一度のパン教室(3クラス、各15名定員)は、キャンセル待ちがでるほどの人気ぶりだ。ルヴァン種を使用したパンなど、各自手捏ねから仕上げさせている。今年は、夏休みの思い出になるような「親子で参加してもらえるレッスン」を初めて行う予定だそうだ。
御所ヶ谷店以外の2店舗のうち、バス停の前にある六本松店はカフェを併設、他方、駅に直結したビル内にある平尾店は気軽に立ち寄れるイートインコーナーを設けている。いずれの店舗も、公共交通機関のアクセスの良い好立地だ。
《御所ヶ谷店》
▽商品構成=パン約60種類(食パン4種、ハード系12〜15種、菓子パン20種、調理パン系15種、サンド8種)
▽人気商品=1位:シュケット(20円)、一日販売個数約150個。あられ糖をトッピング。2位:パン ド ミ(280円/1斤)、一日販売個数約30〜36斤。トーストすると、サクッとした食感が得られる食パン。3位:バゲット(280円)、一日販売個数約20個。小麦粉の旨味と香りが楽しめる口溶けの良いバゲット。4位:パン ア ラ クレーム(170円)、一日販売個数約30個。甘味を抑えた自家製クレーム パティシェール使用のクリームパン。5位:クレッセント(150円)、一日販売個数約15個。トッピングしたハーブ塩がアクセント。
▽その他特徴的なパン=極(きわみ)食パン(380円/1斤)、トーストせずにそのまま食べて美味しいように生クリームを配合した食パン。週1回、水曜日限定販売。
▽一日の平均売上=平日:約9万円、土・日・祝:約12万円、最多価格帯:150〜210円、平均客単価:約730円
▽売上構成=小売3:卸1
▽従業員=製造:8名(正社員3名、パート4名、アルバイト1名)、販売:5名(パート1名、アルバイト4名)
▽主な設備=オーブン1台(MIWE電気式デッキオーブン コンド)、ガスオーブン1台(北沢製、4枚差し3段)、愛工舎ルバン30、MT50縦型ミキサー、レポス5(ドウコン2台)
《3店舗の規模》
▽御所ヶ谷店=売場約4坪、厨房約34坪
▽六本松店=売場約7坪、カフェ7坪(16席)、厨房約3.5坪
▽平尾店=売場約8坪、内イートインスペース4坪(8席)、厨房3坪
▽駐車場=各店舗共、無
【BOULANGERIE L'est】
〈御所ヶ谷店(本店)〉
2005年4月〜 福岡市中央区御所ヶ谷2-45、TEL/FAX=092-521-4687、市営地下鉄薬院大通駅から徒歩10分、営業時間=8〜19時
〈六本松店(2号店)〉
2008年6月〜 福岡市中央区六本松3-9-10、TEL/FAX=092-713-0515、営業時間=8〜22時、西鉄バス六本松大通りバス停前
〈平尾店(3号店)〉
2009年4月〜 福岡市中央区平尾2-5-8西鉄大牟田線平尾駅直結ビル内、TEL/FAX=092-531-0956、営業時間=8〜21時
※各店舗共、定休日=無(正月三が日のみ)
前へ戻る