セイジアサクラ 東京都港区
材料のポテンシャルを最大限に引き出す製法で

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パリ修行時代の朝倉氏(左)

赤いファサードが目印の店舗外観

厨房と売り場が一体になっている店舗内
 

棚と壁に赤いタイルを配している店舗内の様子

総菜パン類

バゲット・ロマネ ¥268

 朝倉氏は、元々高校時代から出身地徳島のベーカリーでアルバイトをし、そのままパン業界に入った。数店で働き、店の立ち上げに関わるなどの経験を通し、パンを作る職人として生まれたパン食文化への疑問を探そうと、パリへ巣立つことになる。
 「それ以前も旅行がてらパリへ行き、飛込みでパン屋の厨房を巡っていましたが、やはり飛込みではできいないことも多く、パリでの修行は、自分の中で自然の流れでした」と朝倉氏。
 「パリでは、カイザーの立ち上げに携わったり、有名店で就業したりと、とても貴重な経験でしたが、日本人だと残念ながら、よくても雇われシェフどまり。働き盛りの年齢だから、自分の店を構えたいと考えました」(朝倉氏)
 それでパリから3年で帰国。製油大手の不二製油で商品開発に携わり、大手パンメーカーからリテイルまで様々なケースを見聞。3年間働いた後、2008年9月に自分の店を構えることになった。
 粉は国産を中心に、商品によってフランス産粉などを使用。酵母は自家製のぶどう酵母、ゆず酵母、ホップ種。塩はゲランドなど数種類を使い分けている。
 「味は製法で決まる。発酵の過程で、粉の甘みや副材料の旨味を引き出しています」と朝倉氏。基本は長時間発酵。前日仕込み、当日焼成をしている。生地も日々改良を重ねて、進化しているとのこと。
 また、「リテイルの商品には必要ない」と添加物は不使用。製油会社で添加物や副材料についての理解を深めた朝倉氏だからこその自信を伺わせる。
 「パンが受け入れられないとしたら、日本とフランスは食文化が違うというより、日本で手に入る材料で、本当に美味しいものが作れているのか、フランスの物まねではなく、材料のポテンシャルを最大限に引き出せているのかが最大のポイント」と朝倉氏。本当に美味しいものなら、受け入れられると信念を持つ。
 現在、仕込み生地数は8種前後、商品は約40種類並ぶ。アイテム数はハード系が多いが、売上比率になると、ハード、ヴェノワズリー、惣菜系それぞれが同じ程度だ。
 客層は近隣住人がメイン。周辺にベーカリーは多いが、「他店とはタイプが違うから」と意に介していない様子。「消費者の選択肢が多いと、地域全体の活性化になるし、売上増にも繋がる」と、競合の多い地域のメリットに注目している。
 現在製造は一人。「店は自己表現の場所ですし、まだ開店して間もないので、自分で全体を見て店の土台を固めることを重視しています。生産効率を上げる工数、工程を考え、店の機械設備はすでに整えています。でも、従業員を増やすとしたら、店の足固めができてから。今は少数先鋭でものづくりをし、利益率を上げていきたい」と朝倉氏。
 「もっとも大切なのは、正直に美味しいものを作ること。それと反対なのは、偽物や不健康なもの。お客様に商品を納得してもらって、買っていただくことが、僕の基本です」と語る。
 開店してまだ1年に満たない。「失敗も成功も、要因はひとつではなく複雑なものだと思うので、まだ全体像を振り返られる段階ではありません。まだ進化過程で、これからニーズも変わるかもしれないので、環境に合わせて進化するでしょう」と柔軟な姿勢だ。
 朝倉氏は「いつかはパリで店を構えたい」と大きな夢を掲げる。フランスに凱旋した朝倉氏の商品を味わえる日が、いつか来るかもしれない。

【ブーランジェリーセイジアサクラ】
東京都港区高輪2-6-20朝日高輪マンション104号
TEL03-3446-4619、営業時間=9時〜18時30分、定休=木曜日
▽主な設備=オーブン1台(ウェルカー)、ミキサー1台、ドウコン2台、冷蔵庫3台、シーター1台
▽従業員=製造1名、販売・補助調理3名

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ハード系

徳島の名産ゆずの酵母を使用したパン