薪窯パン工房 木の葉 東京都青梅市
スギ・ヒノキの間伐材を利用
オーストリアの薪窯を使ってみずみずしいパンを提供する

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チーフの高山真二氏

「青梅の杜」入り口に位置する店舗

薪窯外部
 

テラス席

飲食スペース

販売カウンター
 

多加水の「根っこパン」

ソフトな「杜の白いパン」

 青梅の山に位置し、森林に囲まれた「木の葉」。日本国内だけでなく、欧米でも珍しくなった薪窯でパンを作る新進気鋭の店だ。

 同店は、山林の管理・育成と、木材の製材、加工および販売をする椛ス摩農林が運営する店。開店は2008年4月。
 「大量に出るスギ・ヒノキの間伐端材の利用と、『青梅の杜』の観光を盛り上げるため、パン屋を作る構想が生まれました。しかし、駅から徒歩30分ほどの不便な場所。魅力的なセールスポイントがないとお客様に足を運んでもらえません。それで『薪窯にこだわろう』と伝統的なオーストリアの薪窯を取り入れることにしました。見よう見まねで作るのは大変難しい代物だったので、オーストリアから職人を招き、石などの材料も同国から持ち込んで作ってもらいました。薪窯は、現地でも大変珍しくなったようで、オーストリアの職人も大変喜んでくれました」と同社取締役本部長の高田衛氏は説明する。
 セールスポイントにするとは言え、同店チーフの高山真二氏は薪窯でパンを焼くのは初めて。
 「最初は面食らいました。オーストリアのイスターと試作をしていた時は、上手くいきましたが、いざ自分たちだけでパンを作ろうとすると、火の急な変化に対処できなかったりと、右往左往。更に、最初は薪の状態、天気、季節など様々な条件で窯の温度や湿度が変わり、上手く焼けたり焼けなかったり。試行錯誤の繰り返しでした」
 『グレコ・ローマンスタイル』の窯は、朝4時に薪を40本ほど入れて火をつけ、2時間ほどして燃え尽きた後、灰を取り出し、生地を順番に焼成していく。
 最初は高温向きのハード系、大きな成型のもの、庫内温度が下がってきたらヴィエノワズリー類、小さな成型のもの、と焼成の順番はおのずと決まってくる。温度が下がったら追加で焼くことはできない。
 扱いづらい面もあるが、やはりメリットは大きい。遠赤外線効果で、クラストは香ばしく、クラムの水分は飛ばずにみずみずしい仕上がりになる。
 このメリットを生かすため、比較的大きなポーションのパンが多く、ハード系が中心。スチームを入れるのが難しいため、バゲットやドイツのブロートは作っていない。火を入れてから焼成できるまで時間がかかるため、製法は低温長時間発酵が中心だ。
 仕込み水は、湧き水を店まで引いて使用。酵母は森で取れた木苺から起こしている。現在は新しい酵母を研究中とのこと。また、小麦作りにも挑戦している。
 店舗は、同社の材木が使われているため「かなり低価格で建てることができました」と高田氏。
 カフェレストランを併設しているので、観光やドライブがてら食事を目当てに訪れる客が中心だ。ガラス張りの店内からは、隣接の森が望める。夏はカワセミが枝に止まったりと、ピクニックのような気分になる。客の滞留時間は遠くから足を運んだことも手伝い、必然的に長くなる。週末には近隣県から客が集まるそうだ。  レストランのメニューはアルプスの山間部に伝わる保存食のコンビーフ、塩漬け豚、サワークラフト、そして乳製品のディップを揃えている。
 「キッチンが狭く、調理の人数も多くないため、切ったり温めたりしてすぐに出せるメニューになりました。『トプフェン』というヨーグルトからできるディップ(現地では生乳から作るチーズ)は、現地に視察に行った時に見つけたライ麦パンによく合う付けあわせ。バターやレバーペーストなど、ディップ4種類を1つのプレートにしてランチメニューで提供中です。3時以降は、カフェタイムでヴェノワズリー類を出しています」(高田氏)
 同社は、森林の適正な間引きを行い、再生可能なエネルギーシステム構築を試みている。薪や炭を生産する薪炭林を20のブロックに分けて、順番にエネルギーとして利用する、環境を考えたプロジェクトを行っている。その一環がパン屋だ。環境を鑑みた結果が、美味しいパンを作ることになる、新しい試みだ。

【薪窯パン工房 木の葉】
東京都青梅市黒沢3丁目1574-1、TEL0428-84-2280、FAX0428-20-2281、営業時間=11時〜18時、定休日=毎週水曜、第2・第4木曜

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コンビーフ(左)と塩漬け豚

トプフェンの一部