ナチュラルベーカリー Cram 大分県別府市
中堅製菓製パン機器企業がベーカリーを出店
長年培ったノウハウで、ベーカリーの可能性を拡大する新たな展開に挑戦

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 2008年7月のオープンから一周年を迎え、新たな展開を目指す「ナチュラルベーカリー Cram」。製菓製パン機器の製造及び販売を手掛ける九州の中堅企業が、長年培ってきたノウハウを結集し、形にしたベーカリーを紹介する。

 「ナチュラルベーカリー Cram」は、別府市で創業したP大倉菓機(大分県別府市)が経営するベーカリーだ。同社は1911年に菓子型製造の会社としてスタートし、現在では製菓製パン・食品関係の道具、機械の販売修理から店づくりまでをトータルでプランニングしている。
 オープンのきっかけは、同社が所有するテナント物件が空いたこと。利用方法は色々と検討されたが、4代目社長の大倉一泰氏の「ベーカリーで出来る全ての事に挑戦と検証をして、ベーカリー底上げの協力をしたい」との思いから、新規事業として、ベーカリー経営に乗り出すことにしたもの。
 長年ベーカリーをバックアップしてきたノウハウを活かし、建物はイメージ通りに全面改装し、オーブンなどの機材は取引先に薦めてきたものを導入した。同店は取引先を案内するモデル店舗としての役割も果たしている。
 「先々は、同業者の方との講習会も主催していきたい」と大倉社長は前向きだ。
 店名は、内容がぎっしりと詰まったベーカリーの意味「Cramfull Bakery」に由来する。何事にもひるまず挑戦「Challenge」し、素晴らしく最高「Radical」に良い感性を持った、才能「Ability」のある職人達が、魔法「Magical」を使い、お客様を「Cram」の世界に引き込むという意味合いも含めた。また『Natural』を加えたのは、心地よいサービスを自然に提供していきたい、という気持ちを表している。
 店舗は、交通量の多い国道に面し、ナチュラルでモダンな外観が目を引く造りになっている。休日は、ドライブ途中にマイカーで立ち寄る顧客も多いことから、駐車スペースは13台分を設けた。白と木目を基調とした、清潔感を感じさせる明るい店内には、約90種類のパンが並べられている。
 入口脇の一角にある棚には、同社が取り扱うオリジナルのパン・菓子型やコンフィチュールが美しくディスプレイされており、窓下にあたる壁面に沿ってL字型に設置された段差の低い段階式2段棚には、菓子パン群、ハード系パン群が賑やかに並べられている。
 入口正面にあたる平台はお薦め商品コーナーとして使用しており、見た目にも華やかなデニッシュ系やミニクロワッサンが顧客を出迎える。中央のスペースには、サンド用の冷蔵ケースと焼き込み調理パン群が並ぶ平台を設置している。レジ横の飾り棚は、食パン群とコンフィチュールのコーナーになっている。すべて、『見易さ、選び易さ』を意識した配置だそうだ。
 接客に関しては、「笑顔と気配りを心掛けることはもちろんのこと、品格を意識した押し付けにならないサービスを提供するように伝えている」と大倉社長。『気持ちを豊かにしてくれる』店にしたいという思いがある。
 大きく設けられたイートインスペースは入口右手の窓側にあり、休日は利用客で賑わっている。ドリンクメニューは、レジ横のハイカウンターで注文するシステムで、健康志向を意識して野菜や果物を使用したスムージーが5種類、その他コーヒーなど15種類を揃える充実ぶりだ。この豊富なバリエーションが利用客アップに繋がっているようで、ドリンクだけで2〜3万円/日の売り上げになっている。
 パンの商品構成は、食パン4種、ハード系10種、菓子パン30種、デニッシュ系10種、サンド14種、その他約20種になっている。
 生地アイテムは20種類、イーストを使用したものが主体だ。全てのパン生地のミキシングには、スタンピングミキサー(中井機械工業M製)を使用。「キメの細かいパンに仕上がる点が気に入っています」と黒木克己店長は言う。また、同社製のカスタードクッカーで、餡やカスタードクリームなどの炊き上げとコンフィチュールの途中工程までを行なっている。
 自社で製作したオリジナルのキューブ型は、CUBE(8cm角でココア260円、チーズ250円)に使用している。
 人気商品は、中央の冷蔵ケースに並ぶサンド類(250〜300円)で、昼食として購入する顧客が多いらしく、売上の15%を占める。8種類のパン、ブリオッシュ、ピタ、食パン(黒ゴマ・全粒粉・五穀・ルヴァン種)、カンパーニュ、ソフトフランスを使用し、飽きさせないラインナップとなっているが、具材には特別な素材を選ばず、卵などの一般的に馴染みのあるものを使用している。ソフトフランスパンにクリーム(粒ピーナッツ・黒豆きなこ・クッキーバニラ・クッキーチョコ)を挟んだカスクルート(各120円)も、日に各50個を売り上げている。
 その他には、次のような人気商品がある。
◇クリームパン(150円)、一日販売個数約40個。甘さ控えめの自家製カスタードクリームを包み込んだ。
◇カレーパン(160円)、一日販売個数約40個。甘口に仕上げた自家製カレーフィリング入り。
◇ベリーショコラ(230円)、一日販売個数約20個。ブリオッシュ生地にクーベルチュールチョコ、ラズベリージャム、ミックスベリーをトッピング。
◇ルヴァン食パン(260円)、一日販売個数約20個。自家製ルヴァン種と生クリームを使用したソフトな食感の食パン。
 エコの観点からロス商品の活用は、課題になっている。バゲットは、ラスクと大きめにダイスカットしたフレンチトーストに、クロワッサンは冷凍ストックしておいたものを休日にクロワッサン・オ・ダマンドとして再生して提供している。
 大倉崇史専務は「このベーカリー部門を本社事業のアンテナショップとして位置付け、長いスタンスで新規の取引先が増えていけば良いと思っている」と言う。
 先ずは、7月から販売をスタートさせたコンフィチュールの展開。デミセックやフルセックの製造も予定しており、このようなギフト性の高い商品を強化することで、デパ地下などへのコンフェクショナリー展開も視野に入れている。
 更に、パンをより楽しんでもらうために、取引先とのコラボでデリカテッセン、ディップやパテ類、ドレッシングやソースなども手掛けていくことも考えている。今後は、パン、コンフェクショナリー、デリカテッセン、カフェという4つの柱を軸として、ベーカリーの可能性を広げていくための、新たな展開を進めていきたいそうだ。

【ナチュラルベーカリー Cram】
大分県別府市船小路町3-30、TEL0977-22-4141、FAX0977-22-4040、営業時間=10〜21時、第三火曜日定休
▽一日の平均売上=平日:約15.5万円、土・日・祝:約26.5万円、最多価格帯:180円、平均客単価:平日:約860円、土・日・祝:約950円
▽従業員=製造:正社員5名、販売:8名
▽主な設備=オーブン「武蔵(Mベーカーズプロダクション、4枚差し×3段)」1台、ドウコン(ベーカーズプロダクション)36枚、16枚×2、各1台、ミキサー「スタンピングミキサー(中井機械工業M)」1台、ルバン30(M愛工舎製作所)、カスタードクッカー(中井機械工業M)
▽店舗面積=売場約11.5坪、厨房約19坪、イートインスペース6坪(14席)

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