 店内カウンター
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 オープンキッチン
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 カウンター後ろの陳列棚
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「ナイチンゲール・ブレッズ」は、2008年12月、北カリフォルニアのフォーレストビルという人口2千人ほどの小さな市にオープンした。店名は、オーナーのベス・ソープさんが元看護師であることにちなんで付けられた。
ベスさんはモンタナ州で看護師になって8年目の頃、「この仕事を今は楽しんではいるけれど、ずっと続けたくはない。朝起きて、仕事に行くのが待ち遠しくなるような、他の楽しめる職業はなんだろう?」と考えた。パンを焼くのが好きだったので、仕事としてはどうか知るため、看護師の仕事をパートで続けながら、レストランでパンを焼く仕事をしてみた。その後、フルタイムでベーカリーで働き、とても気に入ったので、自分のベーカリーを開店することにした。ベスさんにとっては「楽しめるかどうか」がいつも一番の基準になっているのだ。
生まれ育った北カリフォルニアに戻りたいと思っていた時、フォーレストビル市にある約30坪の店舗を見つけた。薪窯オーブンを作り、客がパン作りを見られるように、壁を全部ぶち抜いてオープンキッチンにした。煉瓦色や若草色を基調とした暖かい空間だ。
「全て改装し、ペンキ塗りや営業許可申請などを含めて約1年もかかったので、地元の人々は新しいベーカリーを期待して待っていてくれました。結果的には、そのためにお客様の数が開店時から予想以上に多かったので、良かったのかも知れません。最初はどれだけ作るべきか分からなかったので、売り切れが多かったくらいです」
開店当初は、木曜日から土曜日の3日間営業にし、生活のために、看護師の仕事を週1、2日続け(開店10カ月後にやめたそうだ)、販売するパンは3種類から始めた。
「週3日営業の頃は、お客様には『いつ営業日を増やすの?』とよく聞かれましたが、その間にベーカリー運営とパン作りの要領が完全につかめました。パンを3種類から始め、新商品を研究しながら一種類ずつ増やしていったのも、基礎ができてから広げていけたので良かったです」
現在は水曜日から土曜日の週4日営業で、従業員はベーカーの男性と、パン生地を練ったり、接客をしてくれる女性の2人。それでも、ベスさん自身は週70時間働いているので、これ以上営業日を増やすことはないそうだ。
日によって異なるが、一日に約200〜250個のパンを作り、100〜200人の客がやってくる。こだわりの薪窯オーブンで焼いたパンは、クラストがおいしいと評判だ。ベスさんは自分のベーカリーを開店するまで薪窯オーブンを使ったことはなかったが、他のベーカーに質問をしたりして、独学で覚えた。
現在は、8種類のパンを販売。そのうち、一種類は日替わりだ。一番の売れ筋は、フォーレストビル・フレンチ(スィートフレンチバゲット/3.50ドル)、二番目はローズマリー・フォカッチャ(4.25ドル)。他に、サワー種バタード(4.50ドル)、雑穀パン(5.50ドル)、2種類の食パン(全粒粉と、種入りサワー種/各5ドル)、ミニ・B(フォーレスト・フレンチの半分の大きさ/ 2ドル)があり、日替わりパンは、水曜日がライ麦ヌボー、木曜日がシナモンレーズン、金曜日は検討中、土曜日はエピ・バゲットだ。
パンは開店前に焼くが、フォーレストビル・フレンチとミニ・Bは、夕食用に買う客のために、3時頃に焼いている。
焼き立てのまだ温かいパンは、クラフト紙でゆったり包んで、ナイチンゲール印のシールで止めてくれる。それを持って車に乗ると、熱い空気が逃げるように包装の一方が空いていることもあり、運転しながら食べたくなってしまうぐらい良い香りが漂う。ローズマリー・フォカッチャは、ローズマリー、塩、オリーブ油というシンプルな味付けで、軽い口当たり。取材当日は、バゲットとフォカッチャを一つずつ買っていく客が多かった。
また、この日は、ちょうど地元特産の、グラベンステイン・アップルが旬の時期だったので、グラベンステイン・ゴールド・サワー種パン(6ドル)も販売されていた。地元の女性チーズメーカーによるステラルゴールドというイタリアンチーズと共に、りんごをサワー種パンに混ぜ込んだオリジナルだ。
今まで沢山のベーカリーを取材してきたが、ハード系のパンを売っていて、ペイストリーを販売していないベーカリーはここぐらいだと思う。
「私のパッションはパン作りにあり、ペイストリー作りにはないので、ペイストリーとコーヒーは出したくありませんでした。沢山のベーカーに『パンだけではやっていけない、補足としてペイストリーがないと』と言われましたが、私はパンだけでうまくいくかどうかやってみることにしました。まだ試行錯誤していますが…」
その代わりに、パンと合うものをということで、厳選された地元(ソノマ郡)のチーズ13種類、バター2種の他、梨ジャム、セージ酢、カベルネ・ソーヴィニヨン(赤ワイン用ブドウ)酢、高級オリーブ油を販売している。旅行者がパンと一緒に購入することが多い。
今後の展開としては、パンの種類を増やすか、パンに合う商品や、パンから作る商品(クルトンなど)を増やすか思案中だ。
パンを包みながら、楽しそうに常連客や初めての客と話しているベスさんは、小さなベーカリーと一体化していて、自分の楽しめること、好きなことにこだわり続けた人の強さを感じた。(取材・文・写真/田原知代子)
【Nightingale Breads】
住所=6665 Front St., Forestville, CA
TEL707-887-8887
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