ラ・ブランジュリ カロン 東京都八王子市
旨味を引き出す氷温発酵
オリジナルの小麦粉も栽培

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神林慎吾氏

古い倉庫を改装した店舗

店舗内の様子

 東京都八王子市のカロンは、ベーグルやハード系が人気のベーカリー。その味が楽しめる店舗と、八王子に4店舗あるカフェ「バーゼル」は、遠方客をも惹きつけている。

 同店は、東京都国分寺市の「ラ・ブランジュリ キィニョン」が、駅ビルに支店を出すための工場として誕生。その拠点は、現在と同じ老舗ケーキ店「バーゼル」の一角。以前から交流のあったバーゼルの社長から工場スペースを借り、厨房を作った。
 その後、キィニョンは別工場を設け経営が別れた。オーナーの神林慎吾シェフも「一度は店を閉じよう」と悩んだが、八王子に4店舗あるカフェ「バーゼル」へパンを提供することが決まり、店舗販売、カフェ共に好評を得て、確固たる人気を獲得するまでになる。
 同店最大の特徴は、氷点下の温度でじっくり熟成させた氷温発酵製法のパン。氷点下の温度帯で発酵を取る間に、アミノ酸、グルタミン酸が醸成され旨味が出る。研究者や製粉会社から情報を聞き、実験を重ねてたどり着いた製法だ。最も長い発酵時間は「レーズンブレッド」の72時間(ノーパンチ)。発酵時間の幅が広く、解凍にかかる時間は1時間程度。「作業工程が楽になり、時間に追われないで済みます。製造は2人ですが、大量のパンを仕込むことができるんですよ」と神林氏。
 粉の風味を活かすため、ミキシングは多く掛けない。小麦粉は20種類以上、ライ麦も約5種類使用。コーンの粉などを含めると50種類近くになるという。
 「生地は必ず3種類以上の粉をブレンド。ハード系には灰分が高い粉を使用しています」と神林氏は言う。
 また近年では、神奈川県藤野市の農家に依頼し、オリジナルの小麦を栽培している。「国内の小麦農家に対して国の助成は不十分で、価格が3倍にもなってしまう。しかし『誰かがやらないと、この先やる人がいないのでは?』と危惧していました。また、2008年の外麦の値上がりに翻弄されて自給自足の術を探りたかったことや、自分でプライドを持てるものが作りたいと考え、一念発起してはじめました」と振り返る。
 収穫量は年に200kgと多くはないが、出来栄えは「香りが高く、狭い畑で作っているのでムラがあり、雑味が多いので複雑で奥深い味になる」という。この粉は『佐野川バゲット』『佐野川食パン』などにブレンドされる。
 「日本のフランスパンは単体で食べると美味しいのですが、フランスのパンは料理と合わせると美味しさが引き出されます。この融合はミネラルが雑味を作り、味を引き立たせているから。自分も食事と合うパンを作っていきたいですね。極端に言えば菓子パンを作らないくらいになりたい」と神林氏は言う。同店はパンをカフェで提供しているので、客は神林氏の「料理に合う」という狙いを、実際料理と共に食べて体感し、より理解することができる。さらに「ハード系の楽しさを楽しんでもらいたい」とドイツパンなど、馴染みの浅いパンなど様々な種類を、セットメニューとして食べ放題で試せる。
 「ベーグルはもう600種類作りました。新作は月に50〜60種類ほどでプライスカードが山のよう」と神林氏が笑うように、常連の声、ケーキの製法、積極的なサンプルの試作を取り入れ、毎日のように新作が生まれる。「サンプルも業者に『うちに声を掛けて』と前々からお願いし、菓子や料理の材料も一緒に試作をします。線引きをしていては新しいものが生まれないので」
 一番人気のベーグルも常連客に要望され、試作・試食会を繰り返し1年掛かりで生まれたもの。「具材のバリエーションが豊富なので、ベーグルがきっかけで他のパンへ応用することもしばしばです。今後はブラッスリーやバーなど、料理やお酒とパンの融合が図れる店を作っていきたい。また将来的には小麦畑がある佐野川で、レストランや宿泊施設があるパンの村を作れたら」と商品ラインナップのように、夢も幅広くあるようだ。

【ラ・ブランジュリ カロン】
▽住所=東京都八王子市高倉町64-6(バーゼル内)
▽電話・FAX=042-682-3757
▽営業時間=10時〜20時
▽定休日=無休
▽URL=http://www.calon-calon.jp/

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72時間発酵のレーズンブレッド

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