 バゲット
|
 豚バラのココット煮
|
鳥取市内で5年前にオープンした「ル・コションドール」は今年3月、JR鳥取駅前に移転。県外からも口コミやブログで同店を知った、パン好きが集まる。
代表取締役社長の倉益孝行氏は、10月に県内で開催されたプロ対象の「米粉を使った料理コンテスト」でクロワッサンを出品し、最優秀賞を獲得するなど、益々知名度を上げている。
鳥取市内出身の倉益氏は、大阪の辻製パンカレッジを卒業しベーカリーで修行をした後渡仏、帰国後22歳で独立開業を果たした。オープン当初は市内の住宅地に店を構えたが、JR鳥取駅にほど近い中心街に移転、カフェレストランを併設し店舗と厨房の拡大を図った。
コションドールとは、フランス語で「金の豚」。同店がマスコットにしている「四葉に仔豚」は幸福、繁栄の象徴であるため、客が幸せな気持ちになってもらえるような美味しいパン作りを目指しているという。
パン作りのコンセプトを倉益氏は次のように語る。
「地方のベーカリーであることと街中のシャッター通りのパン屋という位置付けで、情報発信できるようなアイテムを考えいます。
例えば、郊外の100円均一店や多店舗展開店ではできない手作りの商品や輸入食材などを手近なアイテムで提供することです。噛めば噛むほど味が出るというパン作りよりも、食べた瞬間に特徴が明確なパンを作る方が、万人にブレなく喜んでもらえると思っています。食事に合うパンを作ることは当たり前ですが、パンだけでも成り立つ味を心掛けています。
フランスパンなどは、その日に買って直ぐ食べるという習慣が浸透していないので、作り方や粉の選び方で翌日まで味が残るように考えています。
ハード系の製法は、前日にオートリーズを取って、当日ルヴァンを練り込んで作っています。また、ポーリッシュや冷蔵発酵も組み合わせています。基本的には、加水を増やしてしっかり寝かし味が残るようにしています」
売れ筋商品No.1は食パン。6種類の中で、国内産麦を使った湯種食パンが最も売れる。次にハルユタカの全粒粉食パン。No.2がバゲット。バゲットが売れるのは、レストランで食べて美味しかったからという理由。国内産麦のリュスティックやフランス産小麦粉と国内産麦をブレンドし天然酵母を使用したものなど4〜5種類の特徴あるバゲットで、客のニーズに合ったものが選べる。クロワッサンショコラやクリームパンも人気がある。
「鳥取は小さい街なので、口コミで広がり易いんです。そして、顔馴染みになると、親しみやすく色々と話をしてくれますので、密な接客ができるのだと思っています」と倉益氏。
カフェレストランでは、ランチメニューが2種類、夜は30〜40種類のアラカルトを用意している。「今回の移転では、厨房を大きくすることに注力しました。多くのメニューを提供することは大変で、経験も浅いので、オープンや真空の機械を多用して効率よくメニューを作れるように考えています。ベーカリーカフェではなくレストランに近いメニューを提供したいと考えていますので、ワインやパンに合うメニューを用意しています」
席数は45席で、平日は子ども連れの主婦が来店客の中心であるため、ベビーカーが通れるように余裕のあるレイアウトになっている。土日は、外国人客が多いという。外国人同士の口コミで、パンとワインが楽しめるだけでなく、量や種類の多さが人気を呼んでいる。また、結婚式の二次会に使われることもある。
「平日と休日でお客様の層が異なりますので、どちらのお客様にも喜んでいただけるきちんとした料理を提供したいと考えています。また、営業時間は深夜0時ですので、お酒を飲んで帰ってもらうなど多目的な使い方をしてもらいたいと考えています」とレストランのコンセプトを語る。
夜の人気メニューは、豚バラのココット煮。自家製ハムとパテの前菜盛り合わせとパンの盛り合わせも好評だという。
経営者として現在、力を入れていることは、「スタッフの力を押し上げることと、安定的な人材確保です。
長時間労働や休みが取れない状態を経験していますので、なるべく安定した形で質の向上を図りたいと思っています。味や雰囲気は、実際に食べて見る以外に身に付ける方法がなく、大阪や京都にスタッフを連れて行き、その後のミーティングを密にしています」
ベーカリーとレストラン以外にも、積極的にケータリングやイベントの出店に取り組んでおり、その繋がりが様々な仕事に結び付いている。
「鳥取のベーカリーとの繋がりが強い方ではないので、多方面の人とコラボレーションしたいと思っています。パンの他に、ギフトとして酒や肉類など一回の食事が完結するセット販売を計画中です」と倉益氏。
自転車好きの倉益氏は、店舗入口に愛車を駐輪、レストラン内にも自転車の情報誌などが置かれている。
「運動のために始めたんです。最初はお客様から見えない所に置いていたのですが、好きだということを伝えたら、自転車好きのお客様が来店されるにようになって、色々なコミュニケーションが取れるようになりました。今後はサークル活動のようなことをしたいと思っています」と話す。
今後の展望について倉益氏は次のように語った。
「パンやレストランの廃棄物は、業者に引き取ってもらい液体肥料にしてもらっています。近いうちに畑を持って廃棄物の循環で無農薬野菜を作り、田舎の古民家をリノベーションしてパンや料理を出すオーベルジュ(民宿)を計画しています。将来は小麦も作りたいと思っています。
パンだけを考えるパン屋では生き残れないと思っていますので、野菜や肉などを含めた食文化の見方や意識を変えなければいけないと思います。また、パンと料理に限らず、時間の使い方であったり、音楽や什器であったりと、お客様に楽しんでもらえる情報をこの店から発信できれば良いと考えています」
【ル・コションドール】
▽鳥取市栄町401-1(JR鳥取駅北口より徒歩5分)
▽電話・FAX=0857-27-5678
▽営業時間=ベーカリー:7時30分〜19時、レストラン/:11時〜0時
▽ベーカリーの客単価=750円
▽従業員数=正社員8人、アルバイト4名
▽敷地面積=88坪(店舗10坪、カフェレストラン40坪、厨房・材料置き場38坪)
▽主な設備=ミキサー/2台(スパイラル・タテ型)、オーブン/1台、ドウコン/2台、ルバン/1台、分割機/1台、パイシーター/1台、冷蔵庫/1台
前へ戻る