PIQバークレー〈カリフォルニア州〉
備え付けのiPadが使える
大学前のイタリアンベーカリー

BACK

 

 

左から、パオロ・ドリザ氏、ルーフォ・ベルガ氏、ニッキー・リビエッチォ氏

店舗外観

ipadが使える中2階
 

店内の様子

一番人気のチキンミラネッサ・サンドイッチ。チキンカツと野菜入り

 イタリアの味をそのまま提供する一方で、サンドイッチなどを平積みしてサービスを迅速化、備え付けのipadが使えるなど、現代のニーズに応えている。

 2011年7月に、UCバークレー校(カリフォルニア州立大学)のすぐ前に開店したPIQベーカリーは、この地域には珍しいイタリアンベーカリー。
 PIQは「Pane Italiano Qualita」の略で、「良質のイタリアのパン」という意味だ。
 5人いるオーナーのうち、ニッキー・リビエッチォ氏がマネージャー、ルーフォ・ベルガ氏がヘッド・ベーカーをしている。2人ともイタリア人だ。
 ニッキー氏は、イタリアで食に関する仕事をしている家族に生まれ、アメリカでグルメピザ屋の経営など、長年レストラン業に関わってきた。
 「イタリア人は伝統的に、おいしく新鮮なものを食べるのが好きです。このベーカリーでは、できるだけオーガニックの材料を使い、かつ手頃な価格で提供しています」
 大きな道路が交差する角地で、交通量が多く、学生は世界中から来ているので、イタリアンベーカリーが受け入れられ易く、開店後すぐ行列ができたという。1日の客数は、夏休み中でも500〜600人、新学期が始まれば700人くらいになる。
 「良い商品、サービス、雰囲気であれば、口コミで人は集まってきます。人々のニーズに応えなければいけません。現代社会はペースが速く、価格が安くても座って待ちたいと思わない。店に入ってきて、実物を見て買って、すぐに出て行きたいと思っています。レジャーに割ける時間はないけれど、おいしいものは食べたいと思っているので、私達はそうしたサービスを提供しています。イタリアでも日常生活のペースは速くなってきているので、フォカッチャリア・バーというのがあって、人々が集まり立ったまま話して食べます」
 ディスプレイに約20種類のサンドイッチやハンバーガー、フォカッチャなどが並ぶ様子は食欲をそそる。  サンドイッチは、チキンミラネッサ・サンドイッチ(7.50ドル)、フォカッチャは、アルグラ、トマト、モッツォレラチーズのカプレッサ(6.75ドル)が一番人気だ。ミニ・ピゼッテ(1.50ドル)は、チェリートマト、オリーブ、アーティチョーク入りのパンで、小さめのイタリア版惣菜パンのようだ。ミルクバイツ(1.50ドル)はミルクパンで、チョコ味、オリーブ味、干しブドウ味などがある。
 「イタリア人のお客様たちが、イタリアにあるベーカリーのようだと言ってくださいます。お客様がイタリアの味をそのまま受け入れてくださっているので、開店時から何も変更はしていません」
 テイクアウトの形でケータリングもしている。ホームページから手軽に注文ができ、大学が始まると、会議用などにパニーニのセットなどのケータリングが増える。今後、デリバリーもする予定だ。
 ベーカリーの全敷地面積は約126坪で、地下がキッチン、1階、中2階がカフェだ。町の中心地にしては広々としており、テラス席も含めると、100席以上ある。無線LANを自由に使えるので、コンピュータ持参の客が多く、中2階には誰でも使用できる備え付けのiPadが置かれている。ハイテク好きなオーナーの息子の提案で置くことになったそうだ。
 印象的だったのは、従業員のフレンドリーさ。イタリア人気質なのかと思ったが、ニッキー氏に尋ねると、イタリア人はニッキー氏とルーフォ氏だけだった。
 「成功の秘訣は、よくできるプロをまわりに置くことです。マネージャーだけでは何もできません。自分と同じ情熱を理解してくれる人たちが必要です。仕事を楽しみ、周りの人たちにもその情熱を吹き込まなければいけません。その人たちがコンセプトを理解して、自分と同じだけ楽しんでくれたら、生きる道となります。そうした環境が作り上げられ、全て揃ったら、店を拡大していけます」
 どうすれば周りの人たちに同じ情熱を理解してもらえるのかと質問すると、「前に経営していたピザ屋の時も、皆家族のようになれました。食べ物を愛し、人を愛するという情熱を持っている人たちさえ探すことができたら、私と同じ情熱を吹き込むことは簡単です。最初から何もなければ、時間を無駄にしません。経験がなくても可能性があれば、時間をかけます。これはルーフォも同じです」
 ヘッドベーカーのルーフォ・ベルガ氏は、サッカーの元オリンピック選手で、引退後、ミラノでベーカーとして10年働き、2010年のベーカリーの開店に合わせて渡米した。
 「新しいコンセプトのベーカリーなので、ベーカー3人とペイストリーシェフ1人と共に、パンだけでなくピザ、フォカッチャ、カルゾーネ、ペイストリー、ケーキなど全て焼いています」
 ルーフォ氏が大切にしているのは、あまり早く作らないこと。イタリアでのパン作りと同じように、パン生地にもピザ生地にもあまりイーストを入れず、ミックスしてから3〜4時間寝かせている。
 「パン作りをイタリアで学び、今も作るのは好きですが、パンは安くて儲からないです。ピザの方が儲かるので、今はその方が良い(笑)」と語る冗談好きなルーフォ氏。
 パンは2時から14時まで焼き、夜はピザなどを22時まで販売している。
 今後の展望をニッキー氏は、次のように語った。
 「この店でレシピなど全てを微調整して、まずは品質管理を行います。そして、あまり遠くない場所で、この店で作った商品を持って行く形の2号店を展開する予定です」

(取材・文・写真)田原知代子

【PIQバークレー】
住所:91 Shattuck Avenue, Berkeley, CA 電話:510-540-7700

前へ戻る

4種類のフォカッチャ。左上から時計回りに、グレカ(レタス入り)、ツナ(ツナ、アルグラ入り)、パルマ(プロシュート入り)、カプレッサ(アルグラ、トマト、モッツォレラチーズ入り)

左から、ミルクバイツのチョコ味、オリーブ味、レーズン味、ウォールナッツ味、サラミ入りオリーブパンサンド、ミニ・ピゼッテ