ブーランジェリー エピ・ドゥ・ブレ〈沖縄県北谷町〉
作業をしながら客と直接会話
カフェ増設で更に深いコミュニケーションを

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比嘉氏と美奈子夫人

店舗外観

店舗内の様子
 

アンシェンヌバゲット

田芋あんぱん

 小麦粉のおいしさが味わえ、常に客と会話をコンセプトに今年5月にオープンした「ブーランジェリー エピ・ドゥ・ブレ」は、オーナーの思い通りに近隣住民に同店のパンが浸透し始めている。

 店舗内は売場と厨房の境がなく、パンが列ぶ棚のすぐ後ろに作業台がある。
 「一般的にベーカリーの厨房は売場からは見えません。見えるとしてもガラス1枚の隔たりがあります。私は、パンを作っている現場をお客様に観てもらいたくてこのような店舗構造にしました。特にお子さまにもの作りを目の当たりにして楽しんでもらいたいと思っています。また、作業をしながら、直接会話ができることも大きなメリットだと考えます」と話すのは、オーナーチーフの比嘉尚氏。
 比嘉氏は、沖縄が日本に返還される前年の昭和46年生まれ。学校を卒業後障害者施設に就職、パン製造の担当を命ぜられた。沖縄で熊本製粉の講習会があった時に同社の技術者と知り合い、本格的にパンの勉強がしたかったため、その技術者と連絡を取り合った。パン一本に絞り込み、将来は独立しようと障害者施設を2000年に退職して、九州に渡った。その後、九州各県でベーカリーの立ち上げに携わりながら、ベーカリーアドバイザーや製パン1級技能士を取得した。
 沖縄に戻ってから数年間は、専属で問屋等の技術指導をしていたが、今年5月に同店をオープンした。
 「海辺の近くで店を持ちたいと思っていて、ブーゲンビリア並木の雰囲気がイメージに合いました。北谷にはベーカリーがほとんどなく、スーパーマーケットのインストアがあるくらいです。この場所は外国人も多く店を持つ環境として興味がありました。また、妻の地元で自宅からも近いので、この場所に決めました」
 那覇市内から北へ車で約30分。リゾート地に向かう国道58号線から少し西に入ったところに位置する。周囲は住宅地だが、飲食店や会社などもある。店舗の向かいは、基地関係者の保育園で5時30分に開園する。こどもを預けに来る父兄がパンを買ってくれるので、当初の開店時間を2時間繰り上げ8時にしたという。
 「オープン当初は、ハード系中心でしたので、年輩者から『なぜ、硬いパンしかないのか』と言われました。そこで菓子パンなどの軟らかいパンを増やすとそれを買ってもらえず、逆にハード系が売れるようになりました。遠回りしましたが、ハード系のおいしさを地域の方々に伝えることができ、最近、ようやく当店のパンが地域に浸透してきたように思います」
 ハード系を中心としたリテイルベーカリーは少ないが、4〜5年ほどのうちに増加している。本土から移り住む人や首都圏・関西圏で働いていた人が沖縄に戻ってきて開業するため、パンを作る・食べるレベルが向上してきているという。
 店名の由来は、麦の穂の仏訳。「店名は去年の12月頃から悩みました。最初はエピ(麦)にしようと思ったのですが、ベーカリーの店名で多いため『エピ・ドゥ・ブレ』にしました」
 比嘉氏は、同店のコンセプトを「小麦粉のおいしさを味わってもらうことです。それから、店舗の構造が表しているようにお客様と常に会話をすることです」と語った。
 売れ筋商品は「アンシェンヌバゲット」や「ジャポネ」のようなハード系。また、「エピメロンパン」、「角煮カレーパン」などもよく売れている。沖縄で、めでたい席には欠かせない田芋(タイモ)の自家製あんが入った「田芋あんぱん」は平均して売れている。
 来店客は、嘉手納基地が近くにあるため3割程度が外国人。週末は半数ほどに増える。
 「東日本大震災の原子力発電所問題の影響を考えて、本土から沖縄に疎開や移住する人が結構多いんです。国内産の小麦粉でも産地を確認してから購入されます。 そのような方々は、定期的に集まって、安全で安心な店の情報を交換されているようです。沖縄は本土から離れているので、原発の影響を気にする人はほとんどいませんが、本土から移り住まれた人が影響に対して敏感になっていると考えます」と話す。
 素材は、国内産小麦粉も使用している、肉、野菜、フルーツなどは沖縄で獲れる新鮮でおいしい食材を使用している。
 沖縄のホールセールやCVSで販売されているパンは、本土に比べ大きいことが特徴だと比嘉氏はいう。九州に土産でパンを持って行くと驚かれるらしい。
 今後、力を入れたい商品と展望を比嘉氏は次のように述べた。
 「これからはドイツパンに力を入れたいと思います。お客様からもドイツパンを作って欲しいという要望を聞きますので早く実現したいと思います。この店舗は未完成なので、内装の細部をイメージ通り整え、カフェスペースを設けてお客様とのコミュニケーションを更に深め、パン教室の実施や障害者施設への支援を含めた情報提供をしたいと考えています」

【ブーランジェリー エピ・ドゥ・ブレ】
▽所在地=沖縄県中頭郡北谷町北前1-11-11、電話098-911-6062
▽営業時間=8〜19時
▽定休日=日曜日
▽敷地面積=15坪
▽駐車場=3台
▽従業員数=2人
▽客単価=平均750〜800円
▽主な設備=ミキサー、オーブン、ドウコン、シーター、フリーザー、台下冷凍冷蔵庫各1台

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