 カンパーニュ
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 トモニ食パン
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 究極のザクザクチョコクローネ
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TOMONI PAIN(浅井一浩オーナーシェフ)は2018年8月にオープンした。顧客と「共に」「友に」成長したいという願いを込めて名付けた。加水量が多く、しっとりもちもちした本格的なフランスパン・ドイツパン・食パン・菓子パン・惣菜パンなど約70種類のパンを揃え、地域に不可欠な存在として人気を博している。
浅井氏は、1982年愛知県丹羽郡扶桑町生まれ。専門学校を卒業後、名古屋のポンパドウルで2年間、岐阜県のグルマンヴィタルに3年間、その後上京し約9年間東京都葛飾区のブーランジュリー・オーヴェルニュに勤務。オーヴェルニュ退社後約1年を経て独立開業を果たした。
オーヴェルニュ時代の2015年には、ドイツ・ミュンヘンで開催されたドイツ国際製パン・製菓機材総合見本市会場内で催されたドイツパンの世界大会「iba cup」に日本代表として出場、渋谷則俊氏(M冨士屋/新潟県)とともに総合優勝を果たし世界一の称号を手にした。
「手先が器用でモノを作ることが好きった。専門学校に入学する前、ベーカリーで約1年間アルバイトをしていた。その時にパン作りが面白くなり、専門知識と技術を身に付けたいと思うようになった。上京のきっかけは、コンテストに出て自分の力を試したいという強い想いから」
その想いが現実となり、様々なコンテストの入賞歴に輝いている。
店舗の立地は、JR成田駅・京成成田駅の西に位置し、東西約2.5H、南北約3Hの丘陵地帯に広がる成田ニュータウンの中心地で、街路樹の緑が美しいメインストリートに面している。近くには、赤坂公園や市立図書館などがあり、共同敷地内には千葉銀行成田西支店もある。千葉交通バス成田ニュータウンボンベルタ停留所から至近。東京都の都心から50H圏内で、2012年の人口は約3万4千人、世帯数は1万4千世帯。印旛沼に近く公園も多いため自然環境に恵まれている。
「この建物は、約10年が経過していると思われる。年配者から小さい子どもを連れた家族まで、幅広い層が暮らしている。駅から少し離れているが、車移動が主流で、バスもターミナルから頻発している。元々、駅利用者を対象にした店ではなく、ニュータウンの住民に愛されることを目指している」と浅井氏。
整備が行き届いたニュータウンで、洒落た店構え、3店舗共有とはいえ最大36台の駐車場付きの地代家賃は、東京都内と大差がないという。
「店を持つに当たり、東京都内や京葉間なども候補に挙げたが、この場所と店舗に落ち着くことができて良かったと思っている」
店名は、意味が明確で短く、覚えやすいことを意識したという。
店舗は、売場と厨房が一体化したスケルトンタイプ。
「建物の良い部分を最大限に活かそうと思った。また、改装費を抑えることも大切だった。デザインや素材はほぼ自分で決めた。結果、他に類のないベーカリー店舗に仕上げることができた。主役はパンなので店は簡素で良い」。
商品のコンセプトは、全商品にこだわりを持つこと。
「当店のパンは、どれも独特。自分の使命は、お客様に美味しいパンを提供すること。日本人の味覚や嗜好に合ったしっとり・もっちり食感のパンを作ること。翌日に食べて美味しいと思えるパン作りに心掛けること。少しの心遣いで美味しさが長続きする保存方法も欠かさず伝えている。パンの持つ本来の味や食感が分かりやすく味わえ、記憶に残ることが、リピーターや口コミ新規顧客の獲得に繋がると考えている。多くのコンテストで賞をいただいたが、受賞作品が必ずしも看板商品になっている訳ではない。コンテスト作品製作における練習量が豊富なので、パンを創造する引き出しが多くなっている。新製品開発などではアイデアに事欠かない」
周辺は、市街化調整区域のため、リテイルベーカリーの出店が認められない。百貨店内にはインストアベーカリーがあるものの、基本的に競争相手は存在しない。隣にある銀行も集客の一翼を担っているらしい。
コロナ禍の影響は、ほとんど受けていないという。
「ほぼ平常どおりに推移している。一時的に売上が伸びた時もあったが、東京都内のように瞬間的な爆発はなかった。逆に極度の落ち込みも今のところ経験せずに済んでいる。緊急事態宣言発令中は、全ての商品を個包装化したが、解除後は徐々に少しずつ個包装を止めた。リテイルベーカリーで、袋詰めにしてしまうと焼き立てパンの品質が大幅に変わってしまい、魅力がなくなってしまう。実際、売り逃しも結構あった」
売れ筋商品は、食事系パン。思いの外ハード系の需要が高いという。食パンは昼過ぎに売り切れてしまう。
商品ラインナップは次のとおり(価格は全て税別)。
▽トモニ食パン(1本580円、1斤290円、1/2斤145円)=加水率80%、湯種製法で作っている。クラストはサックリ歯切れよく、クラムはもっちり。
▽山型食パン(160円)=粉の甘みを最大限に引き出したもっちり食パン。
▽メロンパン(同)=しっとりふんわりした生地を粗糖でつくったビスケット生地で包んだ。パンチのある味わいが楽しめる。
▽クリームパン(同)=千葉県産「こめたまご」を使って丁寧に炊いた自家製カスタード。
▽究極のザクザクチョコクローネ(260円)=棒状のチョコレートをクロワッサン生地で巻いた。パイのような軽い食感を楽しめる。端までチョコが入っている。
▽クロワッサン(180円)=ザクザク感にこだわった。ひと口噛めばザクッとした食感と風味豊かなバターの香りがひろがる。
▽トモニフランス(220円)=水分が90%強と多くクラストがザクッと中のクラムはしっとりもちもちの食感に仕上げた。ハード系が苦手な人も食べやすい。
▽トモニパンリュスティック(同)=トモニフランスの生地をリュスティックにした。生地にストレスを与えずに焼き上げるので大きな気泡がある。皮が薄く、中はしっとり、もちもち。
▽ガーリック!(280円)=トモニフランスにガーリックバターを載せた。ガーリックバターは南フランスのフレッシュなにんにくを使用しているので辛味がなく自然な甘みが特長。
▽ぶどうとオレンジ(290円)=フランスパン生地にジュースや酒に漬けたレーズンとオレンジをたっぷり入れた。ジューシーな甘酸っぱさを楽しめる。
▽ライ麦70(1個650円、1/2個325円)=石臼挽ライ麦全粒粉など数種の粉をブレンド。日本人に合う味と食感で、どんな料理にも合わせやすく食べやすく仕上げた。
▽ライ麦70ナッツ&フルーツ(1個900円、1/2個450円)=ライ麦70にクルミ・レーズン・オレンジ・アーモンドを入れた。
▽カンパーニュ(1/2個350円)=ライ麦・小麦ふすまで深い味わいに。
▽チーズ&黒オリーブのリュスティック(270円)=リュスティックにチーズと黒オリーブを入れた。
浅井氏は、将来の展望を次のように語った。
「挑戦したいことは無限にある。人やスペースの関係でできていないテイクアウトができる焼き菓子。この店舗ではできないが薪窯を使ったパン。さらにこだわりを深めた商品など。
利益拡大よりも、色々な人に自分の作ったパンを食べてもらいたいという願望が強く、1店舗体制を貫くのか、多店舗を展開してそれぞれで夢を実現するのかは、決められない。ただ、生涯現役で、常に自分がワクワクできるベーカリーを営みたい」
一言で「世界一」というが、想像を絶する想い・努力・日々の研鑽を積み重ねがなければ決して世界一にはなれない。あらゆる苦境を乗り越える精神力も半端なものではない。浅井氏がTOMONI PAINで作るパンは、それらが集約されており、他には真似のできない価値が生まれているのだと感じた。これからも大きな山が行く手を阻むだろうが、持ち前の「強い心」で乗り越え、地域に愛されて長く続くベーカリーになってもらいたい。やりたいことを想い続けていると、それは必ず実現できる。
【トモニパン】
〒286-0017千葉県成田市赤坂2-1-15
TEL0476-27-1050
▽営業時間=9〜18時(売り切れ次第終了)
▽定休日=火・水曜日
▽駐車場=あり(共同で最大36台)
▽イートイン=テラス席あり(晴天時)
▽アクセス=JR成田駅徒歩25分/最寄りバス亭より2分
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