創作工房プランタン〈堺市堺区〉
パンで堺を盛り上げる

BACK

 

 

山茂氏

店舗外観

店内の様子
 

夕張メロンパン

大吟醸食パン

サンドイッチ

 Mプランタン工房(福原夏子社長)が展開する「創作工房プランタン」は1994年、堺市で「おいしいパンを食べてほしい」というシンプルな想いの下、ベーカリー&珈琲豆店をオープンした。1970年に開業したカフェに遡ると五十余年の歴史を有し、創作的で新しい感覚の商品群が近隣顧客に愛され続けている。

 パン部門の総責任者で店長の山茂太一氏は、ベーカリー&珈琲豆店の新規開業と同時に同社に入社。以来同店一筋に技術を磨いてきた。
 山茂氏は、1968年生まれ。地元の高校を卒業してすぐに渡道。札幌市内のベーカリーで見習いからパン作りを始めた。
 「高校生の時から自分の進路はベーカーと決めていた。京阪神に有名店はいくらでもあるが、辛いことがあると何時でも家に戻れてしまうので、簡単に戻れない北海道に行き、自分自身を追い詰めなければ一人前にはなれないと考えた」と山茂氏。約3年間北海道で修行し、大阪の店舗で働いた後、25歳で同店に入社した。2006年には「堺技衆」認定、2013年「技能功労者賞」を受賞している。
 店名(社名)は、創業者が春に起業したことからフランス語の「春=プランタン」と命名したという。  立地は、旧歓楽街に近い商業地域。大浜埠頭に繋がる幹線道路に面し、企業ビルに囲まれるように住宅もある。正月や盆になるとリターンする人が多いため、一時的に人口が膨らむ時期があるようだ。
 特有の土地柄を山茂氏は「堺の商家で生まれた千利休の影響だと思うが、和菓子店が軒を並べ甘党が多い。あんぱんやレーズンパンなどがよく売れ、客層は比較的年配者の割合が高く、好みの傾向は、甘い商品に寄っているように思う。ところが最近は、惣菜系やシンプルなフランスパンが売れるようになってきた。年配者割合との関連性は検証できないが、歯に詰まるゴマを使った商品はあまり売れない」という。
 店舗のコンセプトは、身体に優しいパン作り。イーストフード不使用で、冷凍生地も使わず、毎朝小麦粉の配合からパン作り始める。
小麦の特長や季節、パンの種類に合わせて配合し、常に室温や湿度を意識している。
 「パン酵母を長時間熟成させているので、小麦の持つ自然の力を引き立てることができる。水・卵・バターなどの素材も、安心できるものを選んでいる。口に入れた瞬間や噛みしめた瞬間に味わえる小麦の甘みやパン酵母のまろやかな風合い。そんなパンは、素材と自然の恵みの贈り物だと思っている」。
 商品に対する基本的な考え方は、美味しいものでお客様に喜んでもらえる商品であること。若者の間でよく言われる「映え」が好ましく思えず、食べるという行為そのものや味が軽視されて「映え」を優先することに抵抗を感じるという。
 「味よりも珍しい形を重視することは決してない。シンプルに美味しいと評価してもらいたい。付加価値の下、加えることばかりを考えているようだが、引くことによりシンプルな本来の味を強調できる商品が評価されるようならなければいけないように思う」
 店頭には、堺市優良観光土産品にも選ばれた「夕張メロンパン」をはじめ、食パン・調理パン・菓子パンなど約100種類が毎日並ぶ。
 人気商品No.1は、夕張メロンパン。夕張メロンを使ってクリームを作り、卵・牛乳・バターをふんだんに使ったブリオッシュ風生地とサクサクのクッキー皮で夕張メロンをイメージした。次は食パン類で、大吟醸食パン、やさいトースト、角食パン、ライ麦食パン、コラーゲン食パンなど。また、サンドイッチ類も人気で、燻しベーコンのクロワッサンサンド、ミックスサンド、カツサンドが代表格。
 今後、力を入れたい商品は焼き菓子。「ブームや時代の流れに左右されないパン作りを軸に、別の分野として、店の旗艦商品に育てたいと思う。若いスタッフがパン以外に視野が拡げられる人材教育の一環としても積極的に取り組みたい」
 衛生に関して、HACCPはダスキンが開発したアプリを導入している。チェックシートをカスタマイズし、タブレットを持ち誰でもが共有できるシステムにしている。
 「毎月実施している害虫駆除の関連で、HACCP義務化時に提案があり、すぐに採り入れた。また、2010年から連続して、堺保健所から優良厨房の表彰(ゴールドプレート)を受けている」  SDGsの取組は、パン商品の廃棄ロス軽減を意識しており、明確な数値管理は現段階ではできていないが、現状の20〜30%の削減を目標に掲げ、閉店時間が近づくと通常価格から割り引いた販売も実施しているという。
 「高齢化がさらに進むと予測するため、高齢者施設に割引価格でパンを持ち込み、利用者等を対象に選ぶ楽しみが味わえる機会を作りたい。そのことが高齢者の喜びになれば、地域貢献に繋がるのではないかと思う。廃棄ロスを減らすという意味ではなく、消費機会を拡大するということに役立てたい。この年齢になって、世間や人のために能動的に動きたいと思うようになった」
 SDGsが特別な取組ではなく、昔からいわれている「物を大切にする」という精神で、飽和社会で忘れられようとしていることを見直す動きで、当たり前のことを世界的に行うだけと捉えているようだ。
 山茂氏は、将来の展望を次のように話した。
 「パンで堺市を今以上に盛り上げたい。コロナ禍で町全体に活気がなくなっているため、元気を取り戻すイベント等をパンにこだわらず実行したい。そして、皆を笑顔にしたい」
 また、2号店の出店計画があり、構想を具体化しているという。
 「堺市に強い愛着を持っている。新規店をオープンするのであれば堺市以外に考えていない。お客様の認知度を考慮すると、堺市内で業容拡大することが最も望ましいと思っている。将来も堺市民とWin Winの関係性でありたい」

【創作工房プランタン】
〒590-0944大阪府堺市堺区櫛屋町東1丁2-12
電話072-224-0722、FAX072-224-0889
▽営業時間=7〜18時
▽定休日=火曜日(第4月曜日休み)
▽アクセス=阪堺電軌阪堺線花田口駅より徒歩約1分、南海高野線堺東駅より徒歩約12分、南海本線堺駅より徒歩約10分
▽駐車場=近隣のコインパーキング利用
▽業態=珈琲豆の卸・小売、パンの製造直売

【Mプランタン工房】
〒590-0944大阪府堺市堺区櫛屋町東1丁2-12
電話072-224-0722、FAX072-224-0889
▽事業内容=製パン卸・小売業、珈琲豆卸・小売業、健康食品小売業
▽沿革=1972年/大阪市森ノ宮にて珈琲事業部開業、1994年/堺市でベーカリー&珈琲豆店開業、2020年、M&Aにより南海鋼材M(福原實晴社長)[金型材料提供商社、金型・治工具メーカー]のグループ会社となる

前へ戻る

パンの陳列

カレーエピ

コーヒーコーナー