 発酵バターのクロワッサン
|
 フルーツサンド
|
西嶋パンM(西嶋直也社長)は、1996年9月に開店した本店の厨房面積不足と駐車場利用の増加により2021年4月1日、準工業地域並びに第一住居地域が混在する立地に移転し、アイガー加東店としてグランドオープンした。旧本店に比べ陳列商品棚の通路幅を広く取りショッピングカートも用意して、子ども連れや高齢者にも買い物・食事が楽しまれる、地域になくてはならないコミュニティとしての地位を確立している。
同社の経営理念は、
1、お客様に喜んでいただける商品・サービスを提供します。
2、社員(スタッフ)を幸せにします。
3、地域に貢献します。
「この場所に移転を決定し、借地・建設契約を締結したのはコロナ禍の直前。その時点で、周囲は田畑が多く残っており、その後に住宅が建ち、今や店舗の敷地を確保できるスペースはなくなっている。加えて、コロナの影響を受けた建築コストはまだ高騰しておらず、半導体や建築資材等の不足で工期が遅れることなく、非常に良いタイミングで新店舗計画を進めることができた。元々この立地は、旧本店オープン時の第二候補地だったという経緯もある」と西嶋社長。
同店は、全天候型郊外店舗。建物の周りは回廊になっており、雨天時でも駐車場からほとんど雨に濡れることなく入店できる。また、入店の列ができても直射日光が避けられ、雨風に晒されることがない。コーナーにはテラス席が設けられており、天気の良い日には、焼き立てパンをアウトドアで楽しむことができる。
新店のコンセプトは、来店客にゆったりと買い物や食事を楽しんでもらうこと。
西嶋社長は「店舗内や駐車場もかなりゆったり目にしている。店内には車椅子でも入っていただけ、子ども連れ客にはカートを利用していただき両手で商品を選んでいただける。コロナ対策の3密にも対応できている。『店までの片道アクセス時間は店内滞在時間に比例する』という考えに基づき、店舗設計を行った。99%が車で来店のため、安心してお越しいただけるように心掛けている」。
続けて、タスッフに対して「働きやすい環境を整えるために、厨房を広くし設備の増設や更新を行った。カスタードクッカーや一人で焼成が可能なフランスパンオーブンなどはその一環。また、小麦粉アレルギーを持つ人に対して、粉塵とウイルスを回収して除去し、綺麗な空気を循環させる空気清浄機を導入して影響を軽減している。男女別の休憩室も設けた。バックヤードのストレージは、厨房外に生地・粉・食材を別々に保管することにしたため、納入業者は厨房を通らずに納入でき衛生面が担保できるようになり、在庫・商品管理もしやすくなった。そのようなことをし赤字に転落して収入減に陥らないよう生産効率を高めて(単品販売数増)、利益の伸張に繋げなければいけない。いずれも経営理念に基づいている」と話した。
長男で同店店長の西嶋直栄(ナオヒデ)氏は、加東店の基本方針を次のように述べた。
「店舗のレイアウトは、小野店に準じている。商品アイテムは旧本店と変えていない。顧客も増えはしたが固定客に変化はなく、従業員も継続してもらえた上に新規採用で地域の雇用増に貢献することができた。新製品は乱発せず、10年以上売れ続ける商品を出している。オープン時には、主力商品約20アイテムに絞り込み、供給不足に対応した。このようなスタイルが、今後も利益を出し続けて、継続できるベーカリーの姿だと思っている。新店の計画を社長から聞かされて、意識が切り替わった。それまでは、社長の下で経営に携わっていたが、新店を建設するということは、確実に事業承継も含めて自分に課せられる責任の重大さを認識し、父親以上の経営者になることを決意した。今後も2店舗主義を貫き、百貨店やインストアには出店せず、通販もせず、オールスクラッチで製造して、この地域に根ざした商売を続ける。しかし、地域の顧客が継続して来店していただけるからこそ、商売が続けられるのであって、常に顧客目線で仕事をしなければならないと思っている」。
店長は、神戸市内のイスズベーカリーで4年間修業し2020年5月同社に入社した。
売れ筋商品は、北海道小麦を100%使用し、中はもっちり感バツグンで、国産小麦特有の甘さがあり、風味と香りが生きている「春よ恋食パン」、バタースティックを巻き表面に塩を付けて焼き上げた「塩パン」、自家製のカスタードクリーム、兵庫県内産の卵・牛乳、小麦粉「ミナミノカオリ」を使用した「播州クリームパン」、発酵バターの風味が良く、甘いキルシュシロップを塗った「クロワッサン」、サンドイッチではカスタードクリームとホイップクリームでイチゴ・キウイ・黄桃をはさんだ「フルーツサンド」。冬場に人気の商品は、ソフトフランスパンの生地に上新粉を使った上生地を載せ、中にクリームチーズとベーコンを入れた「ダッチフランス」。
「この店で最も食べ続けていただきたい商品は『加東市産もち麦パン』。多くは作ってはいないが、今のところ連日完売している。リピーターが多く地域の農業振興に繋がっている」と社長。
経営理念のひとつ「地域貢献」では、加東市・小野市の農業や雇用だけでなく、人気を博している「パン教室(夏休み子どもパン教室の再開)」や「トライやるウィーク」として、中・高校生の職業体験(インターンシップ)受け入れを約30年間続けている。地域貢献を地道に行った結果として、加東・小野両店の知名度が向上し、専門学校生の就職希望者がより多くなったという。
西嶋店長は、次のように事業継承後の展望を述べた。
「まず、会社として長く続けることを最優先に考え、様々な方法にチャレンジしたい。出来て当たり前だと思われがちだが、常にチャレンジ精神を持ち続けなければ現状維持さえ難しいと思っている。利益を出して社員に還元しようと思えば、自然でシンプルな経営がベストだと考えている。高級ブランドを目指しているのではなく、パブリックベーカリーとして長く続けたい。そして、Eigerは次の付加価値を高めたい。
パン教室/一升パン(一歳の誕生日パン)/兵庫県産もち麦・小麦/小野市産無花果・ふくほのか/小野・加東市産苺・野菜/春よ恋/手作りパン/自家製カスタードクリム・カレー/店外テラス・イートイン/ガーデニング。
【西嶋パンM】
〒673-1445兵庫県加東市大門340-1
【アイガー加東店】
〒67-1464兵庫県加東市上中1丁目91番
電話0795-42-8824
▽営業時間=7時30分〜19時
▽定休日=月曜日(祝日の場合翌火曜日)
▽敷地面積=約600坪+社員専用駐車場(10台)約100坪
▽建物=約100坪
▽駐車場=40台(土・日のみ契約駐車場15台増設)
▽イートイン=約24席
▽テラス=約30席
▽その他=キッズコーナー(コロナで休止中)・買い物カート有
▽従業員数=正社員15人/パート・アルバイト45人
▽客単価=平日:約1200円(400〜500人)/土・日・祝:約1400円(600〜700人)
【アイガー小野店】
〒675-1371兵庫県小野市黒川町1805
電話0794-62-7383
▽営業時間=7時30分〜19時
▽定休日=月曜日(祝日の場合翌火曜日)
▽駐車場=35台
前へ戻る