 冷蔵庫
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 包装室
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 サンド調理室
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Mイスズベーカリー(井筒大輔社長)は2022年9月20日、神戸市兵庫区に本社ビルを新築し、製パン工場を移転稼働した。同社は1946年創業以来、「暮らしの中で永く愛されるパンを食卓にお届けしたい」の信念の下、良い材料を使用し、時間と手間を惜しまない丁寧な手造り製造にこだわってきた。これからも、顧客や取引先、会社、従業員の四方良しとする共存共栄の精神で、顧客・取引先から支持してもらえる会社、従業員が働き甲斐のある会社になれるよう、100年企業を目指している。
井筒社長は2021年3月、3代目代表取締役社長に就任。同時に前社長の井筒英治氏は取締役会長に就任した。英治氏は、1998年に製パン部門の初代神戸マイスターに認定されており、2008年5月に開催された「第25回全国菓子大博覧会・兵庫(姫路菓子博2008)」に「エンペラー山食パン」を出品し、名誉総裁賞を受賞するなど輝かしい功績を残した。神戸マイスター制度とは、優れたものづくりの技術・技能の継承を図ることを目的に、神戸市内だけでなく全国的にも通用するハイレベルの技術・技能をもつ方を「神戸マイスター」として認定する制度。
本社工場の建屋面積は約150坪。延べ床面積は約350坪。全店舗で180〜200アイテムある中で約100アイテムを製造している。1F製パン工場の階上は、事務所・各種倉庫のほかに充実した福利厚生施設が設けられている。会議室では、定例会議のほか社員を対象にした研修会等が開催され、2F休憩室奥に広いバルコニーがあり、夏場はバーキューなども楽しめる。また、3Fにも同様のバルコニーがあり、男女更衣室にはシャワーが完備されている。
2020年9月頃、旧本社工場隣のビルを取り壊すと決まったことが、移転のきっかけになったという。
井筒社長は「その話をきいた時点で私は代表ではなかった。しかし、旧本社工場が竣工から約60年経過していたことと、阪神淡路大震災を経験していることから、代表になると本社工場の移転は必須だと考えていた。また、移転するのなら少しでも若い時の方が良いと思っていたため決心した。問題は、同敷地内に他社が存在し同意を得る必要があった。ところが、予想外にトラブルなく進捗でき、無事に移転が実現できた」
移転は決定したが、移転先を含め社内の体制は白紙の状態だったが、明け渡しは2023年7月と決められたという。
「先ず、移転先を決めるために様々な人脈を活用したが、社長が希望する立地に工場用地がなかった。海側の工業地帯は津波の危険性が高い上、主要交通機関から離れ雇用に障害が出る。六甲山の北側では雇用以外に配送にも支障が出てしまう。何よりも、現従業員の継続雇用が担保できなくなる。そのようなことで悩んでいた時にたまたまこの場所を紹介してもらい即決した。その後に資金調達をした」と井筒会長。
移転には社員全員が大きなエネルギーを費やした。製造系の従業員は、全員が一人暮らしだったので新工場近隣に転居してもらい、公共交通機関利用者は、通勤時間が長くなっただけではなく「三宮」と「兵庫」の最寄り駅の違いを実感したようで、新築工場になったとはいえ、職場環境が変わり、不慣れな機器の操作や配置への戸惑いもあったが、稼働から約半年が過ぎようやく落ち着いてきたようだ。
井筒社長は、将来展望を次のように語った。
今年で77年目を迎えるため、23年後の100年企業を大きな通過点と捉えている。その構想から、店舗を神戸市内に1〜2店増やしたい。神戸市内を出たとしても東の阪神間。売上目標は1〜2年後に10億円。但し、人材不足の影響が心配になっている。昨年、今年とともに5人の新卒者を迎えたが、既に退職者が出ているため、会社や仕事が理由で退職する人をなくすために、自発的に研修内容などを決めさせ、一人一人が目標を持てるようにしたい。これが定着すると退職者増や短期就労者減に歯止めが掛けられると考える。加えて、パンの魅力を発信すること。他業種とのコラボを数多く行なっており、オファーも増えている。今年は、神戸製鋼ラグビーチームのオフィシャルサプライヤーになった。選手の捕食用パンを提供することにより、神戸の名門チームとダッグを組み、さらに神戸の魅力を発信しようとするもの。ヴィッセル神戸の選手が企画したパンを製造することも行なっており、店売りだけではないも魅力を伝えている。生産能力にはまだまだ余裕があり、仮に24時間稼働にするとさらなる生産能力が発揮できる。
《同社の代表商品(一部)》
[食パン]
▽ハード山食(第20・21回全国菓子博内閣総理大臣賞受賞)=小麦粉本来の旨さを引き出した手造り食パン。トーストするとサクッとした食感が味わえる。
▽ゴールド山食=高タンパクの小麦粉に北海道牛乳とフレッシュバターを練り込んだ手作り山型食パン。
▽エンペラー(第25回全国菓子博名誉総裁賞受賞)=乳脂肪45%の生クリーム・フレッシュバター・ヨーグルトによりしっとりとした食感。さわやかな酸味マイルドな香りを昔ながらの手造り製法で実現した。
[ラスク・菓子パン]
▽焦しバターのラスク=焦しバターをフランスパンに染み込ませ、香ばしく、味わい深いラスクに仕上げた。
▽ショコララスク=2種類の上質なチョコレートを使い、カカオ本来の味を引き立てている。
▽バタークリーム=ミルクたっぷりの自家製バタークリームが口の中でとろけていく。みかんの甘酸っぱさがアクセント。
▽パンドゥクリーム(第1回パングランプリ兵庫受賞)=幾層にも油脂を折り込んだ生地に自家製のカスタードクリームをたっぷり絞った。
[惣菜パン・サンドイッチ]
▽元町コロッケドッグ=揚げたてのコロッケを特製ソースにつけてはさんだ。
▽カスクート=フランスパンに辛子マーガリンを塗り、スモークロースハムとゴーダチーズスライスをはさんだ。
▽たまご&たまごサンド=エッグサラダとゆで玉子でボリュームたっぷり。
[フランスパン・クロワッサン]
▽バゲット(第3回パングランプリ兵庫受賞)=朝食にバゲットを。
▽フィッセルガーリック=焼く前と後の2回、たっぷりとガーリックバターを絞り込んだ香り高いフランスパン。
▽トレロン=超ロング粗挽きソーセージと粒マスタードをフランスパン生地で包んだ。表面がカリッとするまで焼くとさらにおいしい。
▽チーズクロワッサン=カマンベールチーズを使用したチーズクリームをクロワッサンで閉じ込め、さらにチーズを上から載せて焼き上げた。
[カレーパン]
▽スコッチエッグカレー=半切りにしたゆでたまごをまろやかなカレー包んだ。
▽元町ビーフカレー=オーストラリア産の牛肉をふんだんに入れた自家製カレーをたっぷり包んだ。
▽牛すじ煮込みカレー(第9回パングランプリ兵庫神戸市長賞受賞)=牛すじをトロトロになるまで煮込み、なめらかなカレーに仕上げた。
【Mイスズベーカリー】
〒652-0897神戸市兵庫区駅南通5-5-1
電話078-651-4180(代表)
▽従業員数=140人(正社員51人)
▽事業内容=パン、サンドイッチの製造・販売
▽アクセス=JR兵庫駅南口より徒歩約10分
《直営店》
▽本店=神戸市中央区布引町2丁目1-4
▽生田ロード店=神戸市中央区北長狭通2丁目1-14
▽元町店=神戸市中央区元町通1丁目11-18
▽阪神スクラ三宮店=神戸市中央区小野柄通8-1-8
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