 店舗外観
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 店内の様子
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 レストラン
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M永田パン(國松清光社長)は1952年、元社長の祖父が南熊本駅近くの琴平2丁目で創業し70余年の歴史を有する。熊本市内の大手製パン卸企業が姿を消す中、誠実と実質を信条とし、無二の製パン卸企業として地域に貢献している。
同社の事業内容は、市販卸パンと学校給食用米飯の製造。自店用パンも製造するが、比率はごく僅か。学校給食用のパン製造は、1994年に完成した共同工場に委託しているため同工場では製造していない。
代表取締役会長の永田昭一氏は、炊飯工場の建設やフードパル熊本への移転経緯などを次のように語った。
「米飯給食導入を耳にし、将来の学校給食は米飯が主流になると確信して1977年に炊飯工場を建設した。当時のパン組合は、米飯給食反対派が大半で、炊飯工場を建設したことにより組合を脱退させられた。2年後の1979年4月より、熊本市の米飯給食が開始され、提供回数が増えるとともに、パン製造事業者が米飯給食に参入するようになったものの、事業者のトラブルが絶えず、結局弊社が単独で熊本市内と郡部の一部を提供するようになった。米飯専門業者が学校給食に参入するという異例もあったが、現在も熊本市で唯一のパン製造事業者が所有する炊飯工場である。1983年には、設備の増強を兼ねて北部工業団地に炊飯工場を移転した。
創業地の工場の立地が住居地域であったことから、1997年11月に熊本市・各種協同組合が環境事業団の資金を借り入れて造成した食品異業種交流型工業団地「フードパル熊本」に移転し稼働を開始した。工場跡地は、倉庫等に改築し活用している。
フードパル熊本は、見て・食べて・触れてという未来型工業団地として分譲したが、理想はかなり異なっている。当初は、どの企業もレストランを併設していたが、継続が厳しく撤退して今では弊社1店のみ。運営の厳しさに差はないが、イベント等で人が集まった時に食事ができなければ困るため営業を続けている。この工業団地の立地は、工場としては適しているが、商業施設として適しているとはいえない」
市販卸パンは、焼成後冷凍が大半を占めており、地元には、病院や幼稚園にP.B.を卸しているという。
オリジナル商品は、第6の栄養素といわれ食物繊維を豊富に含んでいる小麦ふすまを使った「ふすまパン」。約35年前に開発し現在も製造が続いている。ふすまパンのおいしい食べ方は次のとおり。@スライスしたふすまぱんをトースターでカリッと焼きバターやジャムをそえるAフレッシュな野菜やハム、たまごなど、好みの具をはさんでオリジナルのサンドを作る。普段の食パンとはひと味ちがう、味わいのあるサンドイッチができあがるB小さめにカットしチーズフォンデュや彩りあざやかなオープンサンドにする。間食や酒の肴にぴったり。現代人に不足しがちな食物繊維を補い、美容と健康に効果的。
また、生活協同組合向けに添加物不使用の「カビの生えるパン」を開発した。
「保存料と乳化剤を使用すると、パンの品質は見掛けで良くなり、カビは生えず老化も遅い。しかし、身体に良くないという生協担当者の評価だったため、添加物を一切使用せず、漂白剤が添加されていない小麦粉を使ってパンを作った。そうすると、生協から大変喜ばれ、弊社のオリジナル商品は添加物不使用が主流になった」と永田氏。
熊本県パン共同工場の稼働に際し、当時一日平均約3万食あった学校給食パンの事業を全て委託したため、生産能力を持て余すようになり、Mパントーネ・システムに習い宅配パン(Webで受注マパンを製造マ消費者に直接販売)の製造販売を開始し、現在も継続している。
「もし、現在も学校給食パンの製造を継続していたならば、生産はパンクしていただろう。炊飯工場建設、学校給食パン事業の委託など、逆の方向ばかりに向かったようだが、結果的に『逆も真なり』で生き残れたのだと思う」。
熊本県パン協同組合への復帰も果たし、米飯給食の提供は、一日平均約3万食で、多い時には約4.6万食にのぼり、熊本市内の約9割に提供するという効率の良い事業になっている。
パンショップやレストランの来店客は、年間数回開催されるイベント時には一日に一万人以上の人が集まるため、多く家族連れで賑わう。ところが、普段は工場があるだけなので、ほとんど人を見掛けることはなく来店客も稀。パンやケーキの製造工程が見学でき、パン・洋菓子づくりを体験できる「体験コーナー」も設けているが、活用される機会も少ない。
HACCPは、製パン工場で熊本市版を認証取得しており、定期的な内外の監査に必要なマニュアルの更新や記録の確認は行なっているが、それ以外の社員教育は特に実施していないという。
永田氏は、将来展望を次のように述べた。
労働条件の根本的な改善が求められる厳しい時代で生き残るためには、P.B.やOEMで好条件の仕事を確実にやり遂げ、信頼と実績を蓄積すること。大手企業にできないことでも工夫を凝らしてできるようになること。加えて、生き残る方法を常に模索していなければ活路は見出せない。
【M永田パン】
《本社・製パン工場》
〒861-5535熊本市北区貢町松の本561番地フードパル熊本内
TEL096-245-5511/FAX096-245-5735
▽敷地面積=約1000坪
▽建屋面積(工場・ショップ・レストラン)=約450坪
▽従業員数=約100人(正社員比率は約半数、フィリピンからの研修生12人)
▽パンショップ本店営業時間=11〜19時
▽店休日=12月31日、1月1・2日
▽レストラン ベッラ・ドンナ営業時間=11〜19時
▽店休日=12月31日、1月1・2日、TEL096-245-5511
《炊飯工場》
〒861-5531熊本市北区北迫町33番地北部工業団地内
TEL096-245-1098、FAX096-245-2841
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