ブーランジュリー グラン・オム〈富山県高岡市〉
富山県屈指の世界レベルベーカリー
コンテストに挑戦し商品を磨く

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店舗外観

小嶋夫妻

店内の様子
 

店内の様子

バゲット高岡

パネットーネ

 ブーランジュリー グラン・オム(小嶋慎一郎オーナシェフ)は2016年に独立開業した。現在は、高岡にある富山県屈指の世界レベルベーカリーと称され、数多くのコンテストで優秀な成績を残し、ハード系パンが美味しい店と評価されている。

 小嶋氏は、石川県金沢市の出身で45歳。Mドンクに約12年間務め、京都・大津などで勤務し、高岡で約1年間働いたことが縁で、当地で独立開業を果たした。ドンクに入社する前は異なる業界で働いていたという。  店舗のコンセプトは、創業時からハード系メインを貫いている。
 「開業当初は若干の心配があった。店の知名度を高めるためにコンテストに参戦するようになり、好成績を収めると地元の新聞社が取材に訪れ、紙面掲載やWeb配信をしてくれた。そのようなことにも助けられ、リピーターが増えてきた。ベーカリーは、地元に愛されなければいけないと思っており、地元から情報発信とPRしてくれることを嬉しく思っている。最近は、土・日になると他県から来店してくれる人も増えてきた」と小嶋氏。
 店舗内を見回すと、コンテストでの受賞商品が際立っている。商品力はさることながら、プライスカードやPOPにも受賞内容を顕している。
 店名は、グラン・オムのフランス語を直訳すると巨人や大きな男。英雄や偉人という意味もあり、そんな偉業を成し遂げたいという想いに由来する。
 店舗の立地は、高岡市が指定する「山町筋伝統的建造物群保存地区」の中にある。保存地区内には、土蔵造りの町家、真壁造りの町家、前面を洋風に仕上げた町家、レンガ造り洋風建築の銀行など、明治中期から、大正、昭和初期に建築された伝統的な建造物が残り、電柱は一本も無い。店舗斜め向かいには、山町筋を代表する伝統的建造物「旧高岡共立銀行」があり、県内唯一の本格的なレンガ造り建築物で「赤レンガの銀行」と呼ばれて市民に親しまれている。
 特に力を入れている商品はパネットーネとオリジナルなハード系。
 「パネットーネは、天然酵母で3日間かけて生地を発酵させる。レーズンやオレンジピールなどドライフルーツを練り込み、バターをたっぷり使ってしっとりと焼き上げる。クリスマスの時期以外でも地元の果物を使うなど、工夫しながら年間を通じて販売することにより、本場の味を知ってほしい」と話した。
 小嶋氏の賞歴は次のとおり。
◇第27回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト フレッシュ/インストア/リテール製品部門カリフォルニア・レーズン大賞
◇第30回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト オールスクラッチ製品部門ファイナリスト
◇第3回シュトーレンコンテスト優勝・ラッピング賞
◇フォンテラグランプリ2020ブレッド部門優秀賞
◇2020パングランプリ東京フルーツを使ったパン部門グランプリ
◇第2回全国ピーカンナッツレシピコンテスト優勝
◇パネットーネワールドカップ2022日本代表
 商品アイテムは約30アイテム。それとは別に「日替わり」や「気まぐれ」商品を限定的に出している。  パンの製造は小嶋氏のみで、販売は夫人の朱里さん。土・日には不定期でアルバイトの販売員を雇っている。
 売れ筋商品は「バゲット」と「あんバターなどの小物フランスパン系」。パネットーネは毎週作っているため、よく売れているという。食パンは1種類のみ。
 主な商品は次のとおり(全て税込)。
▽スモークチーズ&アーモンド(950円、ハーフ475円)=ロデヴ生地にスモークチーズとアーモンドを練り込んだ。
▽ぶどうのクロワッサン(388円)=クロワッサンにぶどうとカスタードをはさんだ。
▽カルネ・ド・ボルドー(土・日・月限定/324円)=フランスのボルドー修道院で古くから作られていた菓子。
▽北海道あんバター(324円)=中尾清月堂(1870年創業の高岡市内に本店がある老舗和洋菓子店)の粒あんと北海道産バターをはさんだ。
▽バゲット高岡(367円、ハーフ183円)=塩昆布、白ごま、富山県産コシヒカリ発芽玄米入りのバゲット。 ▽アリゴとソーセージのフォカッチャ(410円)=フォカッチャにソーセージを載せ、じゃがいもとチーズのソースをかけた。
▽抹茶黒豆(950円、ハーフ475円)=抹茶生地に黒豆を練り込んだ。
▽マリアージュ・ドゥ・レザン(950円、ハーフ475円)=多加水生地にレーズンピューレ、シャルトリューズ漬けレーズン、プラリネナッツを練り込んだ。[第27回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト フレッシュ/インストア/リテール製品部門カリフォルニア・レーズン大賞受賞作品]
▽ペイ・トロピコー(950円、ハーフ475円)=マンゴーピューレ入り生地にココナッツリキュールで香り付けしたドライマンゴー、パパイア、キウイ、アクセントにクルミを入れた。[2020パングランプリ東京フルーツを使ったパン部門グランプリ受賞作品]
▽パネットーネ(3,780円、1/4 475円)=イタリア・ミラノ発祥のドライフルーツが入った伝統発酵菓子。プレゼントに推奨。
 商品の値上げについて「臨機応変に値上げを実施しているが、材料の値上げ分程度しか上げていない。原価的に安定しているため大きな影響は受けていない。元々価格は、首都圏や京阪神並みの高めに設定しているので、原材料費高騰はそれほど問題にならない。お客様が納得して買っていただけるのならば、安く販売する必要はないと思っている」と小嶋氏。
 開業後約7年間、価格設定に関する考え方に変化はない。急上昇することは望んでいないが、急降下することもなく、固定客に恵まれて長く愛されるベーカリーとして、ハード系パンの普及に尽力している。
 小嶋氏は、次のように今後の展望を述べた。
 「現状を維持すること。移転や新店は考えていない。新店を出すと人を雇わなければならない。そうするとパンのクォリティーが下がり、良い循環は生まれないと思っている。コンテストに挑戦しながら、商品に磨きをかけたい。今後も継続して高岡で頑張っていく」。

【ブーランジュリー グラン・オム】
〒933-0928富山県高岡市守山町38-1
電話0766-22-1688
▽営業時間=月・木〜日11〜19時
▽定休日=火・水曜日
▽駐車場=店舗前に2・3台分あり
▽アクセス=万葉線片原町駅または末広町駅から徒歩約4分

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マリアージュ・ドゥ・レザン

ペイ・トロピコー

アリゴとソーセージのフォカッチャ