PANメンバーズ北海道地区視察A
満寿屋 麦音などを訪問
「共存共栄」十勝と人を繋ぐベーカリーを目指して

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杉山社長

天方氏

店舗外観

 PANメンバーズ(南卓治代表幹事=Mエムズフードアンドライフ社長)は7月19〜21日の3日間、北海道中川郡本別町の「前田農産食品M」、帯広市の「満寿屋麦音」、札幌市の「どんぐり」「ブーランジェリーコロン」などを視察した。

 満寿屋 麦音を運営するM満寿屋商店(杉山雅則社長)は1950年に創業。十勝で生まれ、十勝で育ち、十勝で愛され続ける心和むベーカリー。昔ながらの伝統を守りつつ、十勝産食材100%使用を目指し、日々新しい美味しさを追求している。素材・製法・焼きたてに、徹底的にこだわりながら、格別の美味しさと最高の笑顔を届けている。
 十勝の主幹産業は農業。小麦を主とするパンの原材料の多くを十勝で集めることができ、非常に恵まれた環境。地元生産者が作った食材でパンを作り、地元の人に美味しく食べてもらう。食の地域循環は、パンに関わる人が笑顔や喜びを感じ、十勝産小麦を始めとする十勝の食材の価値を高めることへ繋がる。
 同社は、十勝の食材を使用したパンを追求し続けることで「小さな幸せ」を創り増やす。そして、パンで地域と人の繋がりを広げることで、永続的に発展する十勝の未来を目指している。
 杉山社長は、ビジョンと将来像を次のように語った。
 私が初めてパンを焼いた時、焼きたてのパンを顧客が嬉しそうに買っていく姿を見て、ベーカリーは小さな幸せをプレゼントする良い仕事だと思った。ふるさと十勝に戻り、十勝の小麦に出会った時、目の前一面に広がる十勝の小麦で顧客や農家が幸せを感じるような美味しいパンを作り、十勝産小麦の価値を多くの人に伝えたいと強い使命感を抱いた。
 2012年には、念願の全店舗十勝産小麦100%のパン作りを実現した。以降、日本の食料自給率を支える十勝の農業の価値を高めるべく、十勝産小麦だけで全てのパンを作り続けている。地産地消のパン作りを極めることで、十勝産小麦のパンで小さな幸せを感じる人を増やし、そして十勝の農業の価値をより高める。その想いを実現すべく「2030年十勝がパン王国になる」をビジョンに掲げている。
 美味しいパンを求めて、たくさんの人が十勝に訪れ、生産者も、作る人も、食べる人もパンを通して幸せを感じる。パンを通して十勝と人が繋がることで、十勝から地産地消の素晴らしさが日本中、そして世界へと伝わっていく。地産地消が感じられ、笑顔とよろこびがあふれる場所・十勝を目指し、十勝とのより深い共存共栄を目指していきたい。
 小麦生産量日本一の十勝で満寿屋を営む先代の想いが「目の前に広がる十勝の小麦でパンを作りたい」だった。その想いを約30年かけて実現し、地元の農家・顧客に喜んで食べてもらえるパン作りに励んできた。これからも、美味しく・日常食となるような十勝産小麦100%のパンを追求することで、十勝産小麦の価値がいっそう高まり、十勝が食と自然と笑顔で溢れる場所であり続けるために、パンを通して「小さな幸せ」 を提供する。
 他の食材も可能な限り地元産を使用し、地産地消のパン作りを行っており、十勝という場所だからこそ作ることができ、美味しく食べることができるパンを追求している。未来に地元食材の魅力を伝えるため、食べるだけではなく、食材に触れる経験も食材の美味しさを知る上で大切だと考え、地元食材を使用した手作りピザ教室を開催している。地元の幼稚園や小学校を中心に、今までに約700回。延べ約3万人に参加してもらい、食育活動を続けている。自分で作ったピザはとても美味しく感じ、十勝の食の豊かさに気付くことだろう。食を通した経験が記憶に残り、多くの人に、作る喜びや食べる喜びが伝われけば幸いと考えている。
 取締役の天方慎治氏は「満寿屋 麦音」の概要と具体的な取り組みを次のように述べた。
 種をまく音、芽が出る音、麦の穂が風に揺れる音、収穫の音、石臼で粉を挽く音、パンを作る時の音、パンが焼き上がった時の音、そのような様々な「麦」の音が聞こえる店、それが「麦音」。
 当店には、風車・水車・石臼がある。風車が回ると水車が回り、その力が石臼に伝わり、小麦粉を挽く。そして、地元の木材ペレットが燃料のペレット石窯でふっくらと焼き上げる。麦音のパンはまさに自然と一緒に作られる。
 広大な土地の中には、自慢の広い庭と小麦畑がある。小麦畑の「ハルユタカ」、「ゆめちから」などの小麦は、地元高校生らと一緒に種から育て収穫する。季節によって様々な表情をみせる庭からは、いつも子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくる。
 購入したパンをその場で食べることができる「イートイン(カフェ)スペース」がある。水車が回る音、小麦が挽かれる音、窓の外に広がる小麦畑や冬には一面の銀世界。これらを楽しみながら、焼きたてのパンを食べることができる。
 敷地面積は約12000F。単独ベーカリーとしては日本一の敷地面積を誇る。十勝産小麦粉使用量は2021年実績で約251トン。食パン約96.6万斤分に相当する。
 パン工場を店内に併設。売場を囲むオープンキッチンになっているため、買物を楽しみながら、パンが出来る様子を見たり、製造スタッフと直接会話することもできる。
 石窯で焼いたピザ、揚げたてのカレーパンやドーナツ、焼きたてのパンを常時約100種用意している。カフェスペースや広いテラスでは、目の前に広がる十勝の光景を見ながらパンを楽しむことができる。また、週末限定で、十勝の魅力を発信するイベント開催や十勝生産者の出張ショップを行っている。
 敷地内にある「産直市場・ビオまるしぇ」では5〜10月の期間、地元の有機・無農薬農家による新鮮野菜の販売が行われている。
 人気商品は次のとおり(一部)。
▽麦音メロンパン=上のクッキー生地はブリオッシュ生地と合うように、口溶けが良く、さっくりと軽い食感になるようにした。使用している食材は十勝産の小麦をはじめ、牛乳・バター・砂糖などと十勝の食材にこだわった。
▽オドゥブレ十勝=「キタノカオリ」を100%使用。加水率115%。「キタノカオリ」は吸水性が高く、甘みと強いモチモチ感、深い味わいと香りがある。みずみずしく甘みと旨みのあるパンに仕上がり、キタノカオリの特徴である吸水性の高さを最大限に生かしている。
▽かぼちゃのデニッシュ=デニッシュ生地がサックサクで、中にはたっぷりかぼちゃ餡が入っている。サクサクのデニッシュ生地は、クロワッサンやリンゴのデニッシュなどと同じ生地を使用している。
▽カンパーニュのフレンチトースト=厚切りのカンパーニュにフレンチ液を染み込ませ低温でじっくり焼いた。時間が経ってもフワッとした食感が楽しめる。フレンチ液の材料(牛乳・卵・砂糖)に全てにこだわりがある。工程にもこだわりがあり、湯煎でゆっくりと温め、卵はザルで漉しており、優しい甘さの滑らかなフレンチ液が出来上がっている。

【M満寿屋商店】
〒080-0011北海道帯広市西1条南10丁目2
TEL0155-23-4659、FAX0155-21-4659
事務所〒080-0027帯広市西17条南3丁目50-17
ますや本部
TEL0155-58-4690、FAX0155-58-4691
▽創業=1950年
▽会社設立=1953年1月26日
▽業務内容=パン製造販売
▽従業員数=150人
【満寿屋 麦音】
〒080-0831北海道帯広市稲田町南8線西16-43
TEL0155-67-4659、FAX0155-67-5750
▽定休日=年末年始のみ(GW中は通常営業)
▽営業時間=6時55分〜19時
▽駐車場=約120台
▽アクセス=車:帯広駅より約15分/バス:十勝バス「稲田橋」徒歩約1分
【満寿屋本店】
〒080-0011帯広市西1条南10丁目2
TEL0155-23-4659、FAX0155-21-4659
▽定休日=年末年始
▽営業時間=6時30分〜16時
▽駐車場=なし
【ボヌールマスヤ】
〒080-0027帯広市西17条南3丁目25
TEL0155-33-4659、FAX0155-36-4659
▽定休日=年末年始のみ
▽営業時間=7〜19時
▽駐車場=約50台
【音更店】
〒080-0301河東郡音更町木野大通西17-1-4Mダイイチオーケー店内
TEL0155-30-4659、FAX0155-30-8858
▽定休日=年末年始のみ
▽営業時間=10〜20時(日曜は9時〜)
▽駐車場=約200台
【トラントランますや】
〒080-0012帯広市西3条南12丁目9帯広駅西口エスタ帯広西館
TEL0155-26-3296、FAX0155-26-3296
▽定休日=エスタ西館に準ずる
▽営業時間=9〜18時
▽駐車場=有料:エスタ帯広駐車場
【めむろ窯】
〒082-0813河西郡芽室町東めむろ3条南1-1-1めむろファーマーズマーケット西隣
TEL0155-62-6966、FAX0155-67-1699
▽定休日=木曜日(祝祭日の場合営業)
営業時間=11〜5月:9〜16時(ピッツェリア10時30分〜15時30分)/6〜10月:9〜17時(ピッツェリア10時30分〜16時30分)※月曜日のみ通年:9〜14時(ピッツェリア10時30分〜13時30分)
▽駐車場=約122台

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ガーデン

店内視察の様子

パン商品